役員退職金を物で支給するとは?
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
とても大きなお金が出ていく「役員退職金」。
もちろん、全額支給できるように、計画を立てて、準備を進めていけると良いと思います。
それでも足りない場合や医療法人が理事長先生の個人所有としても良いものを所有している場合に、預貯金からではなく、「物」で支給することができます。
そこで今回はこの物で支給する役員退職金について、解説していきたいと思います。
※この記事は次の人にオススメです
・役員退職金の支給方法を決めていない先生
法人所有のマンションで支給
それでは、事例として預貯金ではなく、医療法人が社宅として所有していたマンションを退職する理事長先生へ支給する場合について、考えていきましょう。
例:役員退職金1億円、簿価2千万円のマンション(時価3千万円)
1億円のうち、3千万円はマンションで渡したと考えますので、残額の7千万を預貯金や他の物で支給する形になります。
マンションの値上がり益部分の1千万は譲渡益として課税されます。
消費税に注意
預貯金に代え、マンションという現物を給付することは「代物弁済」といい、消費税の課税取引とないます。
上記設例で言えば、マンションの時価3千万円部分が消費税の課税売上となります。(7千万は預貯金で支給として)
現物による給付であっても、現預金の支払に代えて行われるものではなく、当初より現物を給付することであった場合には、代物弁済には該当しません。
社員総会での決議の仕方に工夫が必要になりますので、注意しましょう。
源泉所得税にも注意
預貯金であれ、マンションであれ、理事長先生の役員退職金であることに違いはありません。
そのため、源泉所得税がかかります。
マンションの時価から退職所得控除という非課税部分のようなものを控除し、残額の1/2に対して課税されます。
預貯金であれば、役員報酬のように天引きするだけです。
マンションのような物の場合は天引きとはいきません。
その源泉徴収税額は、別途、理事長先生が用意する必要があります。
この物の時価が高額な場合には、その別途用意すべき源泉所得税も高額になりますので、税額相当分は預貯金で支給を受ける等の対策が必要になります。
最後に
理事長先生がお使いだった資産を退職時に医療法人から支給を受けた方が良いというケースはあるかと思います。
退職金の課税は通常の役員報酬等よりは、配慮された税額となりますので、こうした形式も検討の余地があるかと思います。
また、想定される役員退職金に比べて、預貯金が足りないという医療法人でも同様です。
特に事業承継の場合には、次の理事長先生にとって、たくさん預貯金を持っていかれてしまうと承継直後の経営が苦しくなる事例も散見されます。
理事長先生・次の先生・医療法人の3者にとって、税額・資金繰り・所有資産の構成がベストになるように、しっかり相談して決めていきたいですね!
