役員借入金はどうしたらいいの?Q218

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

みなさんの財務諸表には、役員借入金(=短期借入金)が計上されていますでしょうか。

理事長先生が医療法人へ貸し出したとされる金額です。

実際に、まとめて貸すこともあれば、経費を立替をした際に計上されることもあるでしょう。

個人開業医の先生も事業に使う資金をプライベートから支出されることもあるかと思いますが、その時はわざわざ「借入金」とせず、「事業主借」といって借入金扱いはしないはずです。

そのため、今回は医療法人の理事長先生に絞って、医療法人に計上された役員借入金・短期借入金をどうするかという点について、解説していきたいと思います。

※この記事は次の人にオススメです

・医療法人の理事長先生で、役員借入金の返済が気になる先生

どのように返済するか

基本的に、理事長先生へ返済できるという財務状況を前提とします。

返済が厳しい場合は、全く別の選択肢となります。

1.役員報酬を減額して、それを原資に返済していく

この場合、役員報酬が減額される分、所得税や住民税も減額されます。

そして、借入金の返済を受けるため、合計した実入りも確保することができ、理事長先生個人として安定した資金を得ることができます。

反面、借入金が多額に及ぶ場合、その返済に時間がかかります。

もし、その間に相続が起きた場合には、残額が「貸付金」として相続税の課税対象になります。

2.役員退職金と相殺する

仮に、役員退職金の支給想定額が1億円、役員借入金が3千万円だった場合に、差額の7千万円を役員退職金として支給し、併せて3千万円も完済するということです。

そもそも返済できる状況ですが、逆に役員借入金の方が多額である場合もあるかもしれません。

一発で解消できるメリットがありますが、いますぐ解消できないという点と役員退職金の支給まで借入返済を待てるかという点がネックとなります。

返済が厳しそうなときは

次に、返済が厳しい場合も考えていきます。

代表的な選択肢は「債務免除」です。

医療法人としては借入金の返済を免除してもらう、つまり、理事長先生は貸付金の回収を諦めるということです。

医療法人側にて「債務免除益」として、益(儲け)が立ち、課税対象になります。

その際、「繰越欠損金」という過去の累積赤字があれば、相殺して課税対象を縮小できるかもしれません。

つまり、「債務免除益」を計上するタイミングに注意が必要です。

持分あり医療法人はさらに注意

持分あり医療法人である場合には、債務免除の際にその持分の評価額が上昇します。

返済すべき債務がなくなったわけですから、その持分自身の価値も上昇します。

※持ち分なし医療法人の方は関係ないですね

そのため、債権放棄者から既存の持分所有者へその価値上昇分の贈与があったとみなされることになります。

債務免除を経ても債務超過であれば、株の価値はゼロなので課税部分は生じませんが、債務超過の医療法人はあまりありませんので、このみなし贈与には気をつけたいですね!