医療法人を解散する場合の税務上の留意点とはQ196

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

このブログQ 194にて、医療法人の解散について、主に手続きを中心に解説してきました。

M&A市場が活性化され、解散すること自体、減ってきていると思います。

とはいえ、株式会社とは明確な違いがあったりしますので、注意喚起の意味も込めて、今回は税務上の留意点について解説していきたいと思います。

※この記事は次の先生にオススメです

・医療法人の解散を検討されている先生

医療法人と株式会社の解散の違いとは

前提として、解散を経て、清算を目指すことになります。

1.解散事業年度

期首〜解散の日まで

2.清算事業年度

解散の日の翌日から期末まで

3.次の清算事業年度

本来の事業年度

4.最終清算年度

期首〜残余財産確定の日まで

つまり、解散のあった事業年度においては、解散の日を境界線にして2つの事業年度に分かれますが、

基本的に本来の(通常の)事業年度の形は崩れません。

MS法人に代表されるような株式会社の場合には、上記2が違います。

2.清算事業年度

解散の日の翌日〜1年間ごと

そして、残余財産確定の日がある最終清算事業年度まで、1年区切りとなります。

この清算事業年度の括りについては、医療法人特有のものになりますので、注意しましょう!

医療法人に残った財産はどうする?

これはよく頂くご質問なのですが、実務上は医療法人へ残ってしまうことはほとんどありません。

全て払い出して終了です。

医療法人の形式によって違いますので、ここにも注意が必要です。

(1)持分ありの医療法人

「役員退職金」及び「出資持分の払い戻し」によって、払い出します。

この2つは代表的なものになりますが、受け取り方によって、税金に違いが生じます。

医療法人と受け取る個人の両方の課税関係をしっかり整理する必要がありますので、必ず、顧問税理士にしっかり相談してください。

(2)持分なしの医療法人

「役員退職金」で払い出します。

持分ありの医療法人のように、「出資持分の払い戻し」ということはありません。

解散事業年度かその前の通常の事業年度において、役員退職金を支給することになります。