老健の経営について今後の課題とは?Q133

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

2021年の介護報酬改定が迫ってまいりました。

今回は小幅な改定となり、次々回が大きな改定になると思われます。

とはいえ、改定の推移は「ひとつのストーリー」となっていますので、必ず確認は必要です。

今回は次期介護報酬も意識しながら、「介護老人保健施設」を取り上げてみたいと思います。

老健の基本を確認することで、あるべき姿を再確認し、そのあるべき姿こそが次回以降の改定で評価される施設となります。

まずは、基本をしっかり確認していきましょう。

※この記事は次の人にオススメです。

老健(介護老人保健施設)について、介護報酬改定が気になる人

老健が求められる役割とは

老健(介護老人保健施設)が求められる役割とは、何でしょうか。

それは2つあります。

要介護者に対する

(1)在宅復帰・在宅支援

(2)そのためのリハビリテーションの提供

特養のような生活施設ではないということです。

短期入所・訪問リハ・通所リハによる在宅支援や、施設入所によるリハビリ・ケアを行います。

訪問リハはまだやっていない事業所も多い(実施約30%)のですが、急送に伸びている状況です。

この重要な在宅復帰の力の差が、介護報酬に直結します。

①超強化型(約10%→約20%へ)

②強化型

③加算型

④基本型

⑤その他(約45%→約30%へ)

%の推移は、この2年での推移です。

多くの施設において、上位の区分へステップアップしていることが分かります。

介護報酬の差を考えれば、これは自然は流れであり、介護報酬改定によって誘導されているということです。

老健の経営分析は

一般的な老健の収支差額は、約3%の黒字です。

多くの介護事業において3〜5%くらいの利益率になりますので、平均的な%です。

この%に大きく影響するのが、人件費です。

一般的な老健の人件費率は、約60%です。

実情は、人件費を60%に押さえる事で、利益を3%捻出しているという施設も多いと思います。

この流れは今後も続くと予想されるため、業務の効率化UPや残業しない体制作り等、数多く手を売っていくことが重要になります。

今後は地域貢献活動が必要

超強化型や強化型でほぼ100%実施されているのが、「地域貢献活動」です。

通常、老健は要介護者を対象としますが、それ以前の地域の人達に対する地域貢献活動も求められています。

介護報酬の対象外になりますが、要介護状態にならないように、「介護予防サロン」や「買い物支援」等の活動が大事になってきます。

これは、地域の高齢者にとっても意義のある活動だと思います。

絵を描いたり、料理をしたり、お話をしたり・・・と社会活動を行うことが生きがいになり、社会性の向上につながるのだと思います。

介護報酬の財源が厳しい今、報酬外のこうした活動は経営上、大きなメリットがあります。

また、それのみならず、利用者さんにとっても意義の大きなサービスとなり、地域の中でのブランディングにつながってきます。

どのようなサービスを展開するのか、各地域の特性や傾向を見ながら、しっかり検討し、良いアイディアが出せると良いと思います。

※介護老人保健施設の消費税の取り扱いについては、過去のブログで解説していますのでこちらをご覧ください。

Q40「介護老人保健施設の消費税の取り扱いは?