職員様への決算賞与はあわてて出さないように注意しましょう!Q 195

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

先生方からよく受けるご相談があります。

「職員へ決算賞与出そうと思うんだけど」

決算による着地利益もはっきり見えてくる頃、今期は順調だったので、職員様へ還元したいという気持ちが芽生えるようです。

時代と共に、職員様へ還元するようになってきています。

決算賞与のみならず、昇給幅や賞与の支給率を上げる先生が増えてきています。

決算賞与は通常の賞与とは異なり、より利益の分配としての性質が強いと思います。

そこで今回はニーズの高まりと共にご相談の増えてきた「決算賞与」について、解説していきます。

※この記事は次の先生にオススメです

・決算賞与の支給を検討している先生

決算賞与は未払計上に要注意

前提として、今期中に職員様へ決算賞与を支給する場合は、通常の賞与と変わりません。

ただし、実務上よくあるのが、「利益が出たので、決算賞与を支給するようにしよう」ということで、決算日直近に支給を検討する形です。

つまり、決算日現在では、まだ支給を決定したのみで、実際の支給は翌月(例:3月決算→4月支給)というケースです。

その場合、下記3要件を全部満たす必要があります。

(1)期末日までに支給額を各人別に、全ての職員様へ通知する

(2)通知した全ての職員様へ、期末日から1ヶ月以内に支給する(例:3月決算→4月30日まで)

(3)通知した事業年度において経費として会計処理を行う

先生方におかれましては、(1)と(2)をご注意ください。

ミス事例

シンプルに見える3要件ですが、ミス事例もあります。

(2)の「通知した全ての職員」ということなので、4月の実際の支給時点に在籍している職員様ではありません。

「通知したけど、3月で退職したので支給しなかった・・・。」はダメです。

この場合、その方のみならず、医療機関全体として未払いである決算賞与全額が経費にならなくなります。

役員は事前に届出を出す

ご存知かと思いますが、役員の場合は利益が出たからといって、急遽支給する決算賞与は経費になりません。

決算日を指定して、事前に届出を出しておく必要があります。

基本的にはその届出に記載した金額のみ、役員賞与として認められます。

思いの外、利益が出なかったので支給しないということはOKです。(源泉所得税要注意)

まとめ

医療業界だけでなく、人材確保が難しくなっています。

現在在籍している職員様で頑張っている方については、大事にしたいですね。

「決算賞与の支給で報いてあげたい」と想う先生のお気持ちは必ず届くと思います!

せっかくですから、税法のルールも守って経費にしたいですね。