コロナ対策!医療法人なども対象となる家賃支援給付金

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

コロナの影響はまだまだ収まりそうにありません。

「将来の経営が不安だ」

そう感じている先生ばかりだと思います。

経営を苦しめる要因は2つ。

「売上の減少」「費用の負担感」です。

特に、費用の負担感については、「固定費」が大部分を占めます。

通常通りの収益が上がっていた時はそれ程気にならなかった「固定費」も、収入が下がってくると負担感が増してきます。

そこで今回は、コロナ対策のひとつとして、「家賃支援給付金」を解説していきます。

家賃支援給付金とは

固定費とはその名の通り、「固定」であるため、収益が下がっても支出額は変わりません。

反対に、「薬剤や診療材料」のように、基本的に収益の増減に比例する費用を「変動費」といいます。

その固定費の中で最大といっていいものが、「地代・家賃」です。

持続化給付金はとてもありがたい給付金でしたが、そのまま、地代家賃の支払い充てた経営者が多かったのが実情です。

今回の家賃支援給付金は、その地代・家賃(賃料)の負担を軽減してくれる給付金となっており、用途を絞った持続化給付金のようなイメージです。

いわゆる「テナント料」をイメージしてしまいますが、事業用で使う駐車場の地代も含まれます。

事業用の土地・建物の賃料を支払っている場合が前提ですから、必然的に自己所有の土地・建物で病医院経営をされている先生は対象にはなりません。

支給対象は医療法人も個人開業医もOK

医療法人・個人開業医、共にOKです。

メインは金額要件です。

2020年5月〜12月の医業収益について、

1:単月で前年同月比50%以上の減収

2:連続する3ヶ月の合計で前年同期比30%以上の減収

このいずれかに該当することが要件となります。

各医療機関が最も減収したのは4月でしたので、4月が判定対象から外れていることは、給付金を受給する上では、厳しい要件です。

逆に、単月でも判定できるので、前年5〜12月で大きな医業収益がたった月があれば、2020年と比べ、50%以上の差が出る可能性はあります。

つい、2020年が減収になった前提で考えてしまいますが、前年単月で大きな医業収益が立っていれば良いわけです。

まずは、単月判定・3ヶ月判定をして、申請漏れがないようにしましょう。

給付額は

実際の給付額は、「申請時の直近1ヶ月における支払賃料(月額)に基づき算定した給付額(月額)の6倍」となります。(法人は最大600万円:個人は最大300万円)

(1)医療法人

75万円以下→支払賃料の2/3

例:60万円→40万円(給付額)→6倍なので240万円

75万円超→50万円+75万円超過部分×1/3(100万円限度)

例:225万円→50万円+(225万円ー75万円)×1/3=100万円(限度額いっぱい)→6倍なので600万円

(2)個人開業医

37.5円以下→支払賃料の2/3

例:30万円→20万円(給付額)→6倍なので120万円

37.5万円超→25万円+37.5万円超過部分×1/3(50万円限度)

例:112.5万円→25万円+(112.5万円ー37.5万円)×1/3=50万円(限度額いっぱい)→6倍なので300万円

 

支払賃料ベースで見ると、医療法人は225万円/月、個人開業医は112.5万円/月が上限となります。

病医院の本院だけでこの上限に引っかかることはあまりないと思いますが、分院展開されているような医療法人だとあり得ますので、上限額も気にするようにしましょう。

実務上の注意点

(1)申請期限

2021年1月15日までが、申請期限となります。

受付はすでに始まっていますので、準備はしておきましょう。

(2)管理費や共益費

賃貸借契約書で賃料と一体になっていれば、対象になります。実務上は、そうした賃貸借契約が多いと思われますので、管理費や共益費を含め忘れないようにしましょう。

(3)契約期間

給付額は申請時の直近1ヶ月の支払賃料が基準となりますが、これから支払賃料が増えそうな人は注意が必要です。

契約期間にも要件があり、「これから支払賃料が増える→給付額も増える」とはならないため、注意が必要です。

1.2020年3月31日および申請時時点で、有効な賃貸借契約であること

これから契約するものについては、対象になりません。

2.申請日より直前3ヶ月間の支払実績があること

契約だけしているような状況であれば、対象になりません。

実務上は、上記1の3月31日時点と申請時時点での契約の有無に注意が必要です。

(4)給付対象外

地代・家賃の賃貸借契約ですが、契約相手は誰でもよいわけではありません。

親族や関連会社との賃貸借契約である場合は、対象にはなりません。

医療法人でよくある「理事長先生個人が所有している土地・建物を借りているケース」「妻が代表を務めるMS法人が所有している土地・建物を借りているケース」は、対象にはなりませんので注意が必要です。

まとめ

コロナの影響で飲食店など、小規模な会社がかなり倒産・閉店しました。

医療機関も例外ではありません。

予定より閉院・引退を早めた先生もいらっしゃると思います。

大きなネックとなったのが、地代・家賃に代表される固定費でした。

その固定費がケアされることは、大変嬉しいことです。

適用要件は難しくありませんが、今後、要件が変更される可能性は十分ありますので、常に最新情報をチェックし、ご自身の適用の可否や給付額に影響がないか、確認するようにしましょう。

とはいえ、ご自身でそうした時間を取ることは難しいようであれば、ぜひ、専門家からアドバイスをもらうようにしてください。

厳しい経営環境になる、経営者として「お金で時間を買う」という感覚がより大切になってきますね!