医療法人を設立した年の最後の個人事業のポイントQ214

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

今回は前回に続きまして、医療法人設立の範囲の中から解説していきます。

少々マニアックですが、医療法人と個人事業の切り替えが発生する「医療法人設立年の最後の個人事業」に関する税務上のポイントを解説していきます。

開業医として医療法人設立が生涯たった1度だとしますと、今回のテーマもたった1回の論点です。

もう医療法人を設立して2期目以降の先生には申し訳ありませんが、今が設立初年度もしくはこれから設立を検討する先生はぜひご注意下さい。

※この記事は次の先生にオススメです

・医療法人設立初年度の先生

・これから医療法人を設立する先生

個人事業の資産の承継

メインとなる資産は医療法人へ拠出されると思います。

その場合には譲渡所得に該当しますが、実務上、簿価で譲渡し、譲渡損益が生じないケースが多いと思います。

所得税だけではなく、消費税の課税対象にもなりますので、その後、不動産所得が継続して発生する場合等、2年後に課税事業者となり得る点に注意しましょう。

また、もう少し小さいもので「少額減価償却資産」や「一括償却資産」については事業所得に該当します。

反対に、医業未収入金等の債権や買掛金や未払金等の債務の承継については、課税は生じません。

経費関係

①最後の事業年度になりますので、期末棚卸高はゼロとなります。

②同様に貸倒引当金の繰り入れもありません。

一括償却資産も簿価の残額を全額経費に計上して終了です。

事業税も本来は翌年課税されるものですが、見込金額を経費にすることができます。

これらは最終事業年度であるため、「次の事業年度がない」という視点からきています。

勤務期間の引継ぎの伴う退職金支給

医療法人設立後に個人事業時代の勤務期間を含めて退職金を支給した場合に、その退職金を医療法人で経費にすることができます。

職員様にしてみても、医療法人設立時に1度精算されてしまうよりも良いようです。

ただし、医療法人設立時点で退職金を支給した場合には、もう済んでいますので対象になりません。

また、法人設立後から相当期間経過している(修正申告対象等)必要もありますので、法人設立直後の支給には注意が必要です。

まとめ

医療法人名義の預金口座を作るには、設立の登記が完了した証明となる履歴事項全部証明書が必要となりますので、どうしても法人と個人の期間が混在してしまいます。

実務上はこれを交通整理するかのごとく、区分していく必要があります。

今回のポイントをふまえ、個人事業廃止年特有の論点を抑えておきましょう。

最後に、個人事業廃止年は措置法(概算経費)が使えることがあります。

むしろ、それを狙って使えるタイミングで医療法人を設立することもあります。

忘れないように十分注意しましょう!