令和2年度の税制改正で、病院やクリニックが知るべきことQ104

 

※最終更新日:2020年7月15日

令和2年度の税制改正は、全体的に小振りな改正となりました。

その全てを把握することは専門家に任せるとして、病院やクリニックなどの医療関係者は関係する部分だけを知っておけば十分です。

このブログでも、「Q101 令和2年度税制改正は寡婦控除の改正に注目」として、寡婦控除の改正について解説してきました。

「寡婦控除以外で、何か影響ありますか?」

こうした声にお応えすべく、今回は寡婦控除以外で、令和2年度の税制改正の中から、病院やクリニックが知っておくべきポイントを3つにまとめて解説していきます。

※この記事は次の人にオススメです。

令和2年度税制改正の中から、医療機関に影響する部分のみを知りたい人

納税猶予の延長

まず、現場レベルでは「寡婦(夫)控除」の改正を押さえておきましょう。

すでに、Q101(令和2年度税制は寡婦控除の改正に注目)で解説しましたので、そちらも併せてご確認ください。

3つのポイントの1つ目は、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長」です。

いわゆる「持分ありの医療法人」から「持分なしの医療法人」へ移行する際の贈与税や持分にかかる相続税について、納税を猶予・免除する特例です。

理事長先生などの経営層とお話をしていても「認知度が上がってきた」と感じていましたが、制度の適用期限が令和2年9月で終了となっていました。

適用を受けようとする認定件数は増えているものの、いまだ「持分ありの医療法人」も多いことから、制度の適用期限は3年間延長となり、令和5年9月までとなりました。

これにより、制度の適用を迷っていた医療法人には時間的な猶予ができたわけですが、そもそも、持分なしの医療法人への移行に慎重になるのは、「財産権を失う」ことにあります。

この部分が解決されない限り、移行のペースが上がることはないでしょう。

ただし、相続が起きてからでもこの特例を緊急的に使うことはできますので、そうしたケースでの適用については、十分検討する余地があると思います。

改正点ではありませんが、補足として納税の猶予・免除になるケースをまとめておきます。

①出資者の出資持分を相続すると相続税がかかる→相続人が持分放棄した場合に相続税免除

②一部の出資者が出資持分を放棄すると他の出資者に贈与税がかかる→当該他の出資者が持分放棄した場合に贈与税免除

③出資者全員が出資持分を放棄すると医療法人に贈与税がかかる→その医療法人が持分のない医療法人へ移行した場合に贈与税免除

いずれのパターンも従来は相続税・贈与税が課税されており、その税負担が問題となっていました。

持分を放棄することを条件に、その税負担が解消されることになるわけですが、まずはその税負担がどれくらいになるのか、把握することが第一歩となります。

その上で、持分を放棄すべき(=財産権を放棄すべき)か、慎重に判断する必要があります。

必ず、専門家に相談の上、決断するようにしてください。

少額減価償却資産の特例

経営層から現場の事務職員まで、馴染みのある「30万円未満の備品なら、一度で経費にできる」という制度です。

こちらは中小企業の特例であるため、「出資金のない医療法人や個人開業医の場合、常時使用する従業員の数が、1,000人以下」という要件がありました。

1,000人を超えてしまうと、それは大企業とみなして、中小企業の特例の適用はないということです。

これが500人以下へ変更となります。

クリニックはほぼ問題ない話ですが、病院の場合、500人から1,000人くらいの従業員数のところが多いため、改正によって適用を受けることができなくなる・・・というケースが意外と多いかもしれません。

その場合には下記のような取り扱いとなります。

①10万円未満→全額経費

②10〜20万円未満→減価償却or3年間で均等償却(1/3ずつ経費)

③20万円以上→減価償却

10万円以上の資産から取り扱いが変わってきますので、ご注意ください。

所得拡大促進税制

人件費が増えた場合に、増えた金額の15〜25%が節税になる制度です。

以前、このブログ(Q5「医療法人等の人件費対策には所得拡大促進税制を!」)でも解説してきました。

構造上、人件費が増えていきがちな病院やクリニックには、オススメの節税対策です。

この中で、出資金が1億円を超える大きな法人には、「設備投資にも力を入れていること」という設備投資要件があります。

改正前:国内設備投資額≧当期償却費総額×90%

改正後:国内設備投資額≧当期償却費総額×95%

5%ではありますが、より設備投資を求められるよう厳しくなりました。

出資金1億円以下の法人には関係ない話ですので、これからも積極的に適用を受けていくべきですが、今後適用を受けるハードルが上がっていく可能性はあると思います。

細かな適用要件などは、以前のブログ(Q5「医療法人等の人件費対策には所得拡大促進税制を!」)をご参考ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

たくさんある令和2年度税制改正の中でも、病院やクリニック なども医療関係者は寡婦控除と今回の3つのポイントを押さえておけば大丈夫です。

診療報酬改定もあり、変わることも多いですが、どちらも医療経営には大切な話ですので、医療関係者向けにまとめられた情報を押さえることが効率的かと思います。

そうした視点で、このブログを活用して頂けると幸いです。

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