医師特有の相続対策3つのポイントとは〜前編〜Q143
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村です。
医師の相続は、一般の方(会社員等)の相続とかなり違います。
もちろん、法律である以上、基本的な対策は変わらないのですが、医師特有の論点や傾向というものは存在します。
「相続対策って、何に気をつければいいんだろう」
そうした先生もいらっしゃるかと思いますので、今回は「医師特有」という少し違った角度から相続対策を解説していきたいと思います。
※この記事は次の人にオススメです。
・相続対策をこれから始めたい人
・医師としての注意点と整理しておきたい人
医療法人の持分
まずひとつ目は、「医療法人の持分」についてです。
最近では、「持分」のある医療法人の新設が禁止されているため、持分のない医療法人が増え、そうした先生は心配ありません。
ただ「持分」とは財産ですので、持分ありの先生には非常に大切なものになります。
先生ご自身の持分は先生の意思次第ですから、早くから顧問税理士と準備・対策を進めていけば想定外のことは起こりません。
怖いのは、先生以外の持分を有する社員です。
退職に伴って、持分の払い戻しを請求され、多額の出費が必要になる・・・ということはないでしょうか。
その社員との関係は良好でしょうか。容赦なく、権利を主張してくる可能性はないでしょうか。
今から準備しておきましょう。
対策は大きく分けて、2つあります。
(1)持分を集約する
先生お一人でクリニックを経営されている場合、先生以外の持分所有者は概ね親族だと思います。
親族以外の者が所有しているケースは、実務上あまり見かけません。
そこで、親族の所有している持分を事前に先生に集約しておくことが大切です。
出資持分の評価を下げた上で、譲渡でも贈与でもOKです。
こうすることで、突発的な持分の払戻請求を避けることができます。
実務上は、親族から医療法人の経営を揺らぐレベルの請求はありません。(親族ですから)
しかし、その親族に相続が起こり、その持分が相続財産として他者の手に渡ると話は別になります。
特に、医師でない兄弟などの親族は経済力に差があることもあり、請求される確率が高い傾向がありますので、注意が必要です。
(2)持分なしへ移行
そもそも、持分があることが問題なのであれば、持分を放棄し、持分なしへ移行することも選択肢となります。
実際に、持分なしへ移行し、この問題から解放されている医療法人も増えています。
ただし、繰り返しになりますが、持分とは先生の財産です。
その財産を放棄することになりますので、本当に、相続の心配から解放されること以上の価値があるのか、慎重な判断が必要です。
まとめ
「医療経営 中村税理士事務所」では、相続や払戻請求権の問題は事前に解決できると考えていますので、持分は放棄せず、しっかり対策を立てた上で、財産権を保持し、医療法人を健全経営して頂くお手伝いをしております。
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持分の評価の引き下げ対策については、このブログでも個別に深堀していますので、こちらも併せてご確認ください。
・Q69「医療法人の高い出資持分評価を引き下げる方法と意外な落とし穴」
持分なし医療法人への移行についても、このブログでも個別に深堀していますので、こちらも併せてご確認ください。
・Q22「持分なしの医療法人へ移行すべきか?」