医療法人の高い出資持分評価を引き下げる方法と意外な落とし穴

 

最終更新日:2020年5月20日

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

「ご自身が経営する医療法人の出資金の現在の評価額はいくらですか?」

この質問にお答えできない先生が大変多いのが実情です。

何の対策もしていない証拠ですが、将来、医療法人の出資持分を相続・贈与する際、その高い評価額が問題になることがあります。

医療法人は他業種に比べ、利益体質であり、財務面でも健全な傾向があります。

そのため、評価額が上がってしまい、納税額が高額になるという税金上の問題へとつながっていきます。

ぜひ、対策をとりましょう。

そこで、今回は医療法人の出資持分の評価を下げる方法と、その意外な落とし穴について解説していきます。

※この記事は次の人にオススメです。

現在の出資金の評価額を把握していない人

評価額を引き下げる対策を実行・準備していない人

評価を下げるという考え方

医療法人の評価は、計画的に下げていくことが可能です。

逆に、何も対策を立てず、急に相続を迎える・・・というのは最悪です。

方向性としては、「費用を増やして、利益を圧縮する」ということになります。

代表的な対策費用は下記の通りです。

(1)退職金の支給(理事長先生・理事・施設長・事務長など)

(2)建物や内装の修繕や改装

(3)医療機器や車両、棚卸資産の廃棄

(1)や(2)は後継者がいる事業承継の場合でも使えますが、(3)は廃業を前提としています。

こうした対策費用を支払うことで、医療法人の当期の業績は赤字となり、内部に蓄積してきた利益も減少します。

経営上は一時的に厳しい状況になるのですが、その一時的に厳しくなった時点で評価することによって、低い評価額で税金を計算することができます。

どこまで下げることができるかイメージしておく

それでは、具体的にどれくらいの金額を下げることができるのでしょうか?

上記(1)〜(3)の区分ごとに見ていきます。

(1)退職金の支給

役員の退職金には、税務上適正とされる算式があります。

算式:役員報酬(月額)×勤続年数×功績倍率(理事長3倍・平理事1.5〜2倍程度が目安)

役員でない施設長や事務長は、退職金規定に沿って支給します。

具体例:理事長300万円/月で勤続25年、奥様である理事100万円/月で勤続20年、事務長(役員ではない)」

①理事長 300万円×25年×3=2億2500万円

②理事  100万円×20年×2=4000万円

③事務長 500万円(退職金規定に従ったとします)

合計すると2億7000万円になりますが、大事なことは「2億7000万円にもなるから、利益が圧縮されて節税になる」と言えるのか、「2億7000万円にしかならないから利益を全然圧縮できず、膨大な税金になる」のかは、病院の経営成績や財政状態によるということです。

自院の状況に応じて、退職金を支給するという対策で良いのか、把握しておくことが重要なポイントになります。

大きな支出で評価を下げる

(2)建物や内装の修繕や改築(3)医療機器や車両等の廃棄に共通している点は、「大きな支出」であるということです。

この大きな支出をすることで、法人の利益は赤字となり、内部に蓄積された利益も圧縮され、評価額が下がり、節税になります。

今後、想定される修繕や改築はどれくらいになるでしょうか?

時期についてはある程度、計画的に実施されるでしょうから、その時期にこの対策で評価額を下げ、出資持分を贈与する方法があります。

生前に低い評価額で贈与することで、後々の相続税対策になります。

意外な落とし穴に注意

(1)〜(3)を合計した対策費用は、どれくらいになりそうでしょうか?

5億円になった・・・と言っても、毎期の利益がそれ以上、又は内部に蓄積された利益が何十億円という状況であれば、その効果は薄まってしまいます。

その場合には、毎期の役員報酬で払い出していく等、ある程度の時間をかけて、少しずつ減らしていくことが必要です。

1年ですべてをやろうとしないことが大切です。

最低3年〜5年はかけて、計画的に実施していきましょう。

また、評価方法にも注意が必要です。

通常の評価方法を前提に解説してきましたが、下記の条件に該当してしまうと、通常よりも厳しい評価方法になってしまいます。

想定していた評価額よりも、高い評価額になってしまいますので、該当しないように注意が必要です。

(1)比準要素数1

配当(医療法人は該当しない)・利益(2期平均)・純資産の3つの要素につき、

「直前期末を基にした場合にいずれか2要素が0、かつ、直前々期末を基にした場合に2以上の要素が0」

(2)比準要素数0

配当(医療法人は該当しない)・利益(2期平均)・純資産の3つの要素につき、

「直前期末を基にした場合に3要素すべてが0」

実際の適用判定は専門家に任せるとして、重要なことは、「直前期末に赤字で純資産もないと比準0に該当する」ということです。

「2期続けて赤字決算の場合は、比準1に該当」してしまいます。

医療法人の場合、配当禁止のため、すでに配当要素が0の状態です。

利益要素次第で、すぐに比準1に該当してしまいます。

出資の評価を下げようとし行き過ぎると、評価方法が変わってしまい、思うような評価額にならなくなってしまいますので、注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

医療法人の出資持分の評価引き下げについて解説してきました。

具体的な評価方法につきましては、とても難しかったと思います。

そこは専門家にご相談ください。

重要なことは、「想定している対策費用で足りるのか」ということと、「早くに着手し、計画的に進めること」です。

早めに専門家に相談し、最適な方法を提案してもらった上で、計画的に対策を進めていきましょう!

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