持分なしの医療法人へ移行すべきか?

 

※最終更新日:2020年5月1日

前回Q 21「医療法人の事業承継の第一歩とは?」では、医療法人の持分について、解説していきました。

その中で、問題となるのは持分のある医療法人のみであると結論付けましたが、持分の評価額を下げる前に検討すべきことがあります。

事業承継を考えた場合に、まず、持分をどうすべきか考えてみましょう。

※この記事は次の方にオススメです。

持分ありの医療法人のままでいたい方

持分なしの医療法人への移行を検討している方

持分ありを維持

意外に思われるかもしれませんが、持分ありを維持するという考え方も当然あります。

まずは、これから検討すべきと思います。

メリットはもちろん、持分を持っているため、払い戻しの権利と解散時の残余財産の分配権を所有できることです。

医療法人に蓄積し続けた利益の再分配を受けることができます。

そして、ほとんどの医療法人がそうであるように、同族経営(=家族経営)を維持することもでき、経営の意思決定を自分達で決めることもできます。

逆に、デメリットは、相続税の負担が発生しますし、生前に贈与すれば、贈与税が発生します。

そして、持分を所有している者から払い戻しの請求を受ける可能性を残しています。

「息子だから大丈夫」と思っていても、息子に相続が起こり、息子の妻に持分が渡って、そこで払い戻しを請求され、問題になることもあります。

持分は「財産」と考えていただくと、所有するメリット・デメリットが頭の中で整理できると思います。

結論として、持分の評価がそこまで高くなく(=相続税額として耐えうるレベル)、同族経営を当面維持できそう(=払戻請求が起きる可能性が相当低い)のであれば、持分を所有し続けて、払戻しや残余財産の分配を受けるという選択はアリだと思います。

持分を放棄して、持分のない医療法人へ移行

持分を放棄すれば、相続税の負担はなく、払い戻しのリスクはなくなります。

上記の結論とは反対に、持分の評価が高く(=相続税額が過大)、同族経営を維持できなくなりそう(=払い戻しのリスクあり)であれば、持分を放棄して、こうしたリスクを回避する選択をすべきでしょう。

放棄するには、2つの方法があります。

(1)医療法人が贈与税を払い、持分なしへ移行

これまで持分を持つ人の相続税・贈与税の話をしてきましたが、実は、持分を放棄することで、医療法人の方に贈与税が課税されます。

ざっくり言うと、「持分あって払い戻す義務があったけど、払う必要なくなったので、その経済的なメリットって贈与だよね」という考え方です。

お金をもらったわけではないので、「贈与」と言われてもピンとこないかもしれませんが、税法は見逃してくれません。

「じゃあ、この方法は使えない」と結論付ける前に、各種の節税対策をした後の贈与税を計算してみてください。

それが払える程度の贈与税であれば、払ってしまうことにより、持分なしに移行することができます。

同族経営を維持することができ、定款変更だけで済みますので、今の現状と変わらず、また、事務負担も少なく、時間も短くて済みます。

メリットは大きく分けて、2つあります。

医療法人が納税するので、個人(各出資者)の懐は痛まない

出資持分は相続のたびに相続税の心配が出てくるが、持分なしへの移行の際の1回の納税で完結する

次の(2)の認定医療法人制度にもデメリットはありますので、そのデメリットを避けたいのであれば、この(1)の方法で、贈与税を払い、持分なしへ移行する考え方はアリだと思います。

(2)認定医療法人制度を経由して、持分なしへ移行

今、国が推進している認定医療法人という制度を利用する方法です。

これであれば、医療法人に贈与税はかかりません。ただし、厚生労働省の管轄の元、今よりも高い公益性を求められるようになります。

細かな要件は次回以降、解説していきますが、「事業承継」でありながら、同族経営の要素が薄まってしまうのは、出口として正解なのか、若干の違和感を感じます。

細かな認定要件を確認した上で、多くの選択肢のひとつとして、検討できると良いと思います。

まとめ

持分なしへ移行したら、もう持分ありの医療法人には戻れません。

1度きりのことですから、ぜひ医療法人に精通した税理士へご相談ください。

「認定医療法人制度を経由して、贈与税なしで持分なしの医療法人へ移行する」ということが主流となり、そうして情報が多く流れています。

もちろん、間違いではないのですが、「持分ありのままではいけないのか」「移行するにしても、贈与税を払って移行する方が結果的に良いのでないか」という選択肢も検討してみてください。

最後、補足になりますが、「社会医療法人」「特定医療法人」という非常に公益性の高い医療法人へ移行する場合も、贈与税はかかりません。

ただし、要件が多く、かつ、ハードルも高い上に、完全に同族経営を放棄することになるため、割愛させていただきました。

次回は、認定医療法人制度について解説していきます。

今回飛ばした細かな要件についても解説していきますので、併せてご確認ください。

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