開業医特有の相続対策その2〜医師の格差編〜Q144
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
前回は開業医特有の相続対策のとして、「医療法人の持分」について解説しました。
医療法人の出資持分と株式会社の株式とは、かなり違いますので、医療専門のノウハウが必要になります。
今回も同様に、開業医特有の論点を解説してきます。
3つある大きな違いとして、今回は「親族間格差」について解説していきたいと思います。
※この記事は次の人にオススメです。
・医師特有の相続対策のポイントを押さえておきたい人
医師と親族間の格差とは
医師(特に開業医)の相続対策を難しくさせるのが、親族間(特に兄弟姉妹間)の所得格差です。
会社員同士の兄弟姉妹であれは、所得格差はそれ程ありません。
医師と非医師、経営者と雇用者・・・どうしても差が出てしまいます。
そこで、兄弟姉妹から「相続の時くらい多めにほしい」という話が出るケースがよくあります。
気持ちは分かりますので、配慮するケースもあれば、これだけ苦労したんだから当然・・・と配慮しないケースもあります。
「心情」なので、どちらも正解だと思います。
大事なことは、被相続人(親)が生前に遺産分割の方針をしっかり決めておくことです。
事後的に相続人同士で話し合う形になると、その配偶者が声を挟んできたり・・・とまとまらないケースもあります。
親の責任として、子供のためにも道筋をつけるようにしましょう。
遺留分の対象期間とは
所得格差とは反対に、開業医である先生の方が開業時に資金を援助してもらったり、医学部や予備校代など多くのお金を使ってもらっているケースもあると思います。
この場合もやはり、非医師である兄弟姉妹からすると「相続の時くらい多めにほしい」という話になりがちです。
こちらも配慮するのであれば、こうした生前のお金も考慮した遺産分割とすることで対応します。
遺留分については直近10年が対象になりますので、開業して長い先生については上記の経済的な配慮は法的には不要となります。
まとめ
相続で揉めるケースの多くは、相続財産が少ない場合(5,000万円以下)がほとんどです。
開業医自身の相続の場合にはこのラインには収まりませんので、比較的まとまりやすい傾向はありますが、特有の論点として押さえておきましょう。
遺産分割の方針を定めておくことは、潤滑な相続には必須です。
「医療経営 中村税理士事務所」では遺産分割についても、提携先の司法書士の先生・弁護士の先生と協力しながら取り組んでいます。
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※対策その1「出資持分」については、こちらをご覧ください。
Q143「医師特有の相続対策3つのポイントとは〜前編〜」