病院経営やクリニック経営の安全性はどう見るのか?〜流動比率〜
最終更新日:2020年5月13日
病院やクリニックの経営環境が厳しくなる中、財務諸表を使った財務分析スキルの重要性はますます高まっています。
ポイントとなる「収益性」「安全性」「機能性」の中から、今回は「安全性」を解説していきます。
財務上の安全性とはなんでしょうか。
端的に言えば、お金がきちんと回っていることを意味します。
財務分析を通じて、「お金が回る力」を測定してみましょう!
※この記事は次の人にオススメです。
・簡単に資金繰りを把握したい人
・自院における資金のバランスを測りたい人
流動比率を使いこなす
「きちんと回っている」という状態を感覚ではなく、数字で表してくれるのが「流動比率」です。
「流動比率」を使うことで、どれくらい前期より改善しているのか、もしくは、苦しくなっているのか、より詳細に把握をすることができます。
また、他の病院と比べることで、自院の「安全性」について、客観的に判断することができます。
算式:流動資産÷流動負債
買掛金や未払金、短期の借入金に対して、預金や医業未収入金などの流動資産がどれくらい準備できているのかという資金上の「安全性」を測ることができます。
全業種平均は120%くらいと言われていますが、医療法人の一般病院200床の平均は約200%となっています。
これは、医療機関の場合、社保・国保の未収入金が2ヶ月分あるため、流動資産が大きくなりやすい傾向があるためです。
厳しいと思われる医療機関の経営状態であっても、民間の事業会社よりは安全性が高いわけです。
オススメは当座比率
流動資産の中には繰延税金資産や前払費用などの換金性のない資産も存在します。
これらでは、流動負債は返済できません。
そこで流動資産のうち、現金預金と未収入金に限定して当座資産と言います。
そして、流動負債に対して、当座資産がどれくらい準備できているかという考え方を「当座比率」と言います。
算式:当座資産÷流動負債
流動比率より厳しい数字になりますが、この当座比率を重視して、より厳密な資金繰りを目指しましょう。
まとめ
今回は、病院やクリニックの財務上の「安全性」について、解説してきました。
流動比率や当座比率は経営の安全性を簡単に求め、過去との比較や他院との比較で、様々な情報を与えてくれます。
ぜひ、それを有効に活かしてください。
もちろん、資金繰りを考える上では、キャッシュフロー計算書の作成は欠かせません。
そこもしっかり分析している前提にはなりますが、この簡易な資金繰りの管理方法である流動比率を使った財務分析は手軽にできますので、併用して使ってみてください!