病院やクリニックの材料費比率をどう経営に活かすか?

 

最終更新日:2020年5月13日

前回Q48「病院やクリニックの財務分析で大切な収益性とは?」では、財務分析のうち、収益性の観点から「利益率関係」を解説してきました。

今回は収益性の「費用関係」のうち、材料費比率を解説していきます。

算式上は、医業収益に占める材料費の割合はどれくらいかというものです。

しかし、実務上はこの医業収益を上げるのに、どれくらい材料費がかかったのかと考えていきます。

材料費率の変化は、現場の変化を表します。

経営改善につなげやすい指標のひとつです。

※この記事は次の人にオススメです。

材料費比率を経営に生かしたい人

材料費比率

算式:材料費比率÷医業収益

材料費には、医薬品費や診療材料費、医療消耗器具備品費、給食用材料費が含まれますが、後者2つは金額としてそれ程大きくならない病院が多いかと思いますので、医薬品費と診療材料費の2つに注目しましょう。

基本的に、材料費の金額自体は医業収益の増減に比例します。

医業収益が増えれば、比例して材料費も増えていくはずです。その逆も然りです。

ですので、材料費率自体は変わらないはずです。

変わってきた場合には、その要因が必ずあるので注意しましょう。

材料費率はなぜ変わるのか

変わる要因は様々あります。

診療方針や治療内容の変化であれば良いのですが、発注方法の変更や在庫管理の問題など人為的なミスによるケースも散見されます。

医師一人一人が自由に発注している、在庫管理をごく1部の職員に任せきりになっている・・・等病院のシステムに問題がある場合もあります。

特に、高額の医薬品や診療材料、高使用頻度のものなどは要注意です。

実際、病院の発注や在庫管理システムを見直すだけでも材料費比率は変わります。

何ももって適正とするのか

病院で使う医薬品や診療材料は、病院の機能によって大きく異なります。

そこで、厚生労働省の病院経営管理指標を使い、同じ病院種別、同じ開設者、同じ病床数で比較してみてください。

ちなみに、医療法人で一般病院200床だと20%(医薬品比率だと7%)くらいです。

ぜひ、ご自身の病院でも確認してみてください。

まとめ

材料費比率が平均値より高い場合、理由はなんでしょうか。

仕入値なのか、在庫管理なのか、その理由を探すことが大切です。

数値の悪化からその理由を探すということですが、逆のパターンもイメージとして持っておくことをオススメしています。

何か人為的なミスが起きたために、それが材料費比率の悪化という形で表れたということです。

材料費比率は現場の変化を教えてくれます。

ぜひ、有効に活用していきたいですね。