医療法人がお金を貸すことについて考えてみよう!Q176
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
今回は、医療法人からの貸付金について解説していきます。
「医療法人って、お金貸したらダメなんでしょ」
こうした認識の先生もいらっしゃると思います。
基本的にはその通りです。
ただし、特に職員様の多い医療法人においては、貸付の必要が出てくることもあると思います。
そこで今回はもう少し丁寧に、医療法人からのお金の貸付について考えていきましょう。
※この記事は次の人にオススメです
・医療法人の理事長先生
理事長先生への貸付金
実務上はあまりないかと思いますが、理事長先生個人へ医療法人がお金を貸すケースです。
昔は結構見かけましたが、最近は減っていると思います。
理事長先生から見れば、医療法人のお金も自分のお金と思う公私混同パターンです。
例えば、株式会社であれば、利息※を取った上でお金を貸すことは税務上問題ありません。
※令和4年中であれば0.9%
※社内で必要な手続きはとりましょう
ただし、医療法人に場合、禁止されている「剰余金の配当」行為とみなされます。
医療法人の認可が取り消される事例もありますので、改善が必要です。
福利厚生であれば貸付は可能
それでは、医療法人から貸付金が認められるケースについて考えていきます。
平成19年の医政発において下記のように記されています。
「役職員への金銭の貸付は附帯業務ではなく福利厚生として行うこと。
この場合、全役職員を対象とした貸付に関する内部規定を設けること。」
つまり、福利厚生としての貸付であれば良いということになります。
逆を言えば、それ以外の貸付は不可ということです。
結果として、福利厚生の場合には、貸付金が多額になる可能性が出てきますので、「認められる」・「認められない」以前に資金繰りへの影響が懸念されます。
実務上の取り扱いは
実務上苦慮するのは、理事長への貸付金だと思います。
弊所では、早々に精算することをお勧めしています。
また、資金繰りに余力があり、かつ、職員様からのニーズがあるのであれば、福利厚生としての「貸付金制度」の創設を検討しても良いと思います。
ちなみに、制度はあるものの周知されておらず、利用しているのが理事長先生だけ・・・ということは医療法上も税務上もマズいのでご注意ください。