開業医特有の相続対策その3〜相続財産の偏り編〜Q145
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
シリーズで解説してきました医師・開業医の相続対策の最後です。
相続対策自体はたくさんありますが、「医師特有」という角度だとこの3つで十分です。
逆を言えば、会社の社長の相続対策とは違うということです。
ここに医療特化のノウハウが存在します。
※この記事は次の人にオススメです。
・医師や開業医特有の相続対策が必要な人
開業医の相続財産の偏りとは
開業医の相続財産は偏りがちです。
主な相続財産である「医院」という財産を構成するものは、不動産や出資持分(持分ありの医療法人の場合)です。
不動産や持分は相続したとき、納税資金になりません。
預金とは違います。
事業承継した相続人に不動産のみならず、高額な医療機器なども相続していくことになり、承継しなかった非医師の相続人と相続財産に偏りが生じます。
相続財産の大半が医院に関する不動産と高額医療機器・・・ということになりがちです。
対策は代償分割
1番の対策は、代償分割です。
代償分割とは、相続分を超過している分をお金で精算するイメージです。
例えば、兄(後継者の医師)と弟(非医師)間で、1億円の財産を5,000万円ずつ相続したい場合です。
でも、1億円の相続財産の内訳が不動産6,000万円+医療機器3,000万円+預金1,000万円だったらどうでしょうか。
兄9,000万円⇆弟1,000万円となってしまいます。
そこで、4,000万円を代償分割として、兄から弟へ現金で精算します。
兄:9,000万円−4,000万円=5,000万円
弟:1,000万円+4,000万円=5,000万円
代償分割資金の準備はどうするか
上記設例の場合、4,000万円をどう準備するかという問題が残ります。
もちろん、預金で持っていれば良いのですが、「払えない」もしくは「払うと預金が減って将来大変」ということもあると思います。
そこで、一般的には生命保険を利用します。
被相続人を被保険者(契約者)にして、受取人を事業を承継する相続人(この場合は兄)とします。
これにより、相続が起きたときに事業を承継する相続人が保険金を受け取ることができるため、これを代償分割資金に充てることができます。
これにより、無事解決することができます。
まとめ
相続対策全般にいえることですが、事前の準備が全てになります。
相続が起きてからでは、上記の生命保険に加入することも、預金で代償分割資金を新たに準備することもできません。
ぜひ、顧問税理士の先生と事前に準備の上、相続対策を進めていってください。
「医療経営 中村税理士事務所」では、通常の月額顧問料の中で、こうした相続対策のご提案をさせて頂いております。
お気軽にご相談ください。
他2つの相続対策のポイントについては、こちらも併せてご覧ください。
出資持分についてはこちら↓
※Q143「医師特有の相続対策3つのポイントとは〜前編〜」
親族間の格差についてはこちら↓
※Q144「開業医特有の相続対策その2〜医師の格差編〜」