病床利用率・平均在院日数などを計算して医療経営にいかす

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

医療経営専門の税理士としてお客様とお付き合いをしていると、ご相談をいただくのは経営層ばかりではありません。

「病院にはいろいろな指標があるけど、ちょっと自信ないな」

新人の職員様からこんなご相談をいただくこともあります。

そこで今回はグッとレベルを落として、病床利用率や平均在院日数、新入院患者数といった病院経営に関する各種の指標について、簡単な具体例を用いながら、考えてみたいと思います。

実務上、入院収益の課題分析をするときも、入院収益を構成する各要素に分解しますが、この分解こそが病床利用率や平均在院日数だったりしますので、こうした指標の理解は経営改善に直結します。

難しく感じる各種の指標も、実際の数字を追うことで理解できるようになります!

※この記事は次の人にオススメです。

病床利用率や平均在院日数、新入院患者数といった病院経営の基本指標を具体例付きで理解したい人

病院経営の改善を目指したい人

病床利用率とは

基本的に、入院収益は下記のように考えます。

1.「病床数」×「病床利用率」=「入院患者数」

2.「入院患者数」×「入院患者単価」×「入院日数」=入院収益

例:病床数200床、病床利用率80%、入院患者単価4,000点、入院日数365日の病院の年間入院収益

200×80%=160人

160×4,000点×10円×365日=23億3,600万円

ここで出てくる「病床利用率」とは下記のように考えます。

1日あたり平均入院患者数÷稼働病床数

例:1日あたり平均入院患者数40人、稼働病床数50床の場合

40÷50=80%

平均在院日数とは

次に、「平均在院日数」について具体例を用いながら、考えていきましょう。

(1日あたりの平均入院患者数×入院診療日数)÷{(新入院患者数/月+退院患者数/月)×1/2}

例:1日あたりの平均入院患者数50人、入院診療日数30日、新入院患者数/月150人、退院患者数/月150人

(50×30日)÷{(150+150)×1/2}=10日

平均在院日数10日ということは、病棟が10日単位で月に3回転しているということを意味します。

上記例でいうと、50人が新規入院し、50人が退院するということを3回している状況です。

かなりの高回転です。

この回転を「病床回転数」といい、「平均在院日数」と深い関係にありますので、セットで押さえておきましょう。

診療日数(月)÷平均在院日数

例:診療日数30日、平均在院日数15日

30÷15=2回転

仮に、平均在院日数30日であれば、病棟が30日単位で月に1回転しているということを意味します。

つまり、平均在院日数が長くなる程、病床の回転数は下がります。

反対に、平均在院日数が短くなる程、病床の回転数は上がることになります。

この相反した関係は基本になりますので、押さえておきましょう。

新入院患者数とは

(1)1日あたり新入院患者数

「入院患者数」÷平均在院日数

例:病床数200床、病床利用率80%、平均在院日数10日

「200×80%」÷10=16人

(2)月間延入院患者数

「入院患者数」×入院診療日数

例:病床数200床、病床利用率80%、入院診療日数30日

「200×80%」×30=4,800人

病床利用率と新入院患者数との関係

これまでを踏まえての応用問題です。

目標とする病床利用率を達成するためには、1日あたり新入院患者を何名増やすことになるのでしょうか?

例:病床数200床、平均在院日数10日、病床利用率80%→90%へ

・(200×80%)÷10=16人

・(200×90%)÷10=18人

・18人-16人=2人

1日あたり2名増えると、病床利用率は90%となります。

紹介率と逆紹介率

最後に、紹介率と逆紹介率も大切ですから、併せて見ていきましょう。

(1)紹介率

(紹介患者(文書)+救急搬入)/初診患者

例:紹介患者(文書)300人、救急搬入300人、初診患者1,000人

(300+300)÷1000=60%

(2)逆紹介率

(他への紹介患者(文書))/初診患者

例:他への紹介患者(文書)500人、初診患者1,000人

500÷1,000=50%

まとめ

経営を管理する上で、「数字」は欠かせません。

病院経営には独特の「数字」があり、その分析は必須です。

「なんとなく分かっていたけど、はっきり理解できた」

そう思っていただけたら幸いです。

今回ご紹介した現場の数字のみならず、病院経営には財務諸表に基づいた「財務分析」も重要です。

数字が苦手な方は辛いかもしれませんが、基本的には慣れと学習で克服できると思います。

なんでもお気軽にご相談ください。

一緒に学んでいきましょう!

※財務分析については、「財務分析」のカテゴリーに記事が集約されていますので、そちらをご確認ください。

※こちらの記事も親和性がありますので、ご確認頂くと参考になると思います。

Q83 病床回転率を病床利用率と病床稼働率で管理するには

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