病院やクリニックの未収金を節税で取り戻す!〜貸し倒れ〜
※最終更新日:2020年7月15日
病院やクリニックで問題となるのが、未収金です。
社保や国保の未収入金は、2ヶ月後に入金されますので大丈夫ですが、患者様から受け取る未収金はそうとは限りません。
回収できることが最善策ですが、その一部を節税することで取り戻すことができます。
「未収金が出るのは仕方がないよ」
そんなことはありません。税金で少しでも取り返しましょう。
そこで今回は、病院やクリニックの未収金を経費化する方法について解説していきます。
※この記事は次の人にオススメです。
・未収金が出て困っている人
・未収金を節税でカバーしたい人
未収金の二重の怖さとは
病院やクリニックを経営する上で、未収金はついて回る問題です。
もちろん、各医院では定期的に催促をしたり、未収金にならない努力をされていると思います。
未収金には、二重の怖さがあります。
(1)資金繰りの悪化
本来、入るべきお金が入らなくなるので、当然、資金繰りが苦しくなります。
(2)課税されてしまう
未収金も立派な売上です。
入金されようが、されまいが、課税の対象になります。
入ってこないお金に対して、税金を払うという最悪の形になってしまいます。
このように二重の怖さがあるわけですが、どちらが怖いかは病医院の経営状態によります。
赤字である場合には(2)課税よりも(1)資金繰り悪化の影響が大きくなりますし、順調な黒字経営あれば(1)資金繰りの心配よりも(2)課税の影響が大きくなります。
貸し倒れにして、税金で取り戻す
そこで税法では、一定条件のもと、「貸倒損失」として経費化することができます。
(1)事実上の貸し倒れ
患者様の支払能力等から、全額回収できないことが明らかである場合
(2)形式上の貸し倒れ
1年以上経過してもなお回収不能である場合(備忘として1円を残す)
あくまでも、「経費化」ですので、未収金自体が回収されるわけではありません。
未収金の約30%相当の金額が、節税になるということです。
まずは、回収を第一に考えていきましょう。
注意すべき点
貸倒損失として経費化することを焦らないでください。
実務上、よくあるのが「大きな黒字が出た期に積極的に貸倒損失としてしまうケース」です。
貸し倒れは事実認定のため、病医院の黒字・赤字は関係ありません。
経費に落としたい期で検討するのは良いですが、それで最終決定して経費にしないようにしましょう。
また、大前提として「回収不能」であることです。
つまり、「回収しようとした努力した」ということを証拠として残しておく必要があります。
①請求書の再発行
②催促の連絡(内容証明などの記録の残る郵便)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
補足ですが、貸し倒れについては、貸付金でも同じ取り扱いになります。
しかし、医療法人の場合、資金の貸付には制限がありますので、実務上はあまり出てこない論点です。
いろいろな病医院を見てきて思うのですが、未収金の少ない病医院は「未収金を生まない仕組み」を常に工夫しています。
未収金の二重の怖さを再認識して、まずは未収にならない仕組み作りから始められるといいですね。