医療法人の役員報酬改定について注意すべきことQ 182
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
世の中の多くの医療法人は3月決算であり、5月の社員総会を経て、役員報酬の改定が行われます。
実務的には、ちょうど先生と顧問税理士の間で、相談が増える時期になります。
「6月からの役員報酬どうしようか」
そこで、今回は3月決算の医療法人に限らず、「役員報酬」に関する注意点の中から、実際に頂いたご相談をいくつか解説していきたいと思います。
医療法人の理事長先生に向けて、今後の役員報酬の検討材料になりましたら幸いです。
※この記事は次の人にオススメです
・役員報酬に詳しくなりたい医療法人の理事長先生
医療法人の役員にも手当を出したい
これは理事長先生ご自身というよりも、他の理事に対して出してあげたいというご相談が多い論点です。
結論から申しますと、定期同額給与に該当しない限り、経費にはなりません。
職員に対する手当であれば、雇用契約に基づき支給しますが、役員は委任契約ですので、手当という考え方がなじみません。
そのため役員報酬とされますが、「定期同額」に該当するケースはほとんどなく、経費になりません。
ただし、翌期以降であれば、手当も含めた金額で役員報酬を設定することで、「定期同額」のハードルをクリアできる可能性があります。
手当を出した場合の事前確定届出給与への影響は?
役員に期末手当を支給した場合に、決算賞与となり、「事前確定届出給与」に違反してしまうのでしょうか。
事前に届出した金額と違うとして「事前確定届出給与」が否認されたら大変です。
こちらも結論から申しますが、「事前確定届出給与」には影響しません。
支給自体をしっかり区分すれば、問題ありません。
こちらも上記同様、翌期以降は手当相当額も含めた金額で「事前確定届出給与」の金額設定をすれば良いかと思います。
医療法人の経費にならない役員報酬とされるもの
役員報酬を経費にするには「定期同額給与」ないしは「事前確定届出給与」に該当する必要があります。
※このブログで過去に解説していますので、ご覧ください。
※こちらです→Q150「事前確定届出給与を支給しない場合の落とし穴とは?」
下記のようなものは役員に対する給与とみなされ、経費になりませんので注意が必要です。
・役員のみ対象に人間ドック費用
・役員の結婚式
・役員の通夜の費用
他にも経費にならないという意味では、決算日における役員報酬の日割計算による未払計上も認められておりません。
まとめ
役員報酬は大変身近であるにも関わらず、非常にルールが多い論点です。
顧問税理士にご相談の上、将来を見据えた改定を毎期しっかり検討していきましょう!