クリニックの青色事業専従者給与は金額と専従がポイントQ160
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
青色事業専従者給与について、開業医であるクリニックの院長先生からよく受ける相談があります。
「青色事業専従者給与って、いくらまで出していいの?」
「仕事掛け持ちしているんだけど、ダメかな?」
開業する先生や開業直後の先生はもちろんですが、金額の変更や奥様の生活環境の変化によって、開業歴の長い先生からも良く頂くご相談です。
そこで今回はクリニックとして、青色事業専従者給与をどう考えたら良いか、実務上の解説をしていきたいと思います。
青色事業専従者とはなんぞやという基本的な話は山ほどよそに情報がありますので、このブログではクリニックの院長先生から頂いたご相談に絞って解説していきます。
※この記事は次の人にオススメです。
・青色事業専従者給与について、金額や専従要件について知りたい院長先生
クリニックの青色事業専従者給与はいくらまで認められるのか
簡単に前提を入れておきますが、
①同居しているような同じお財布で生活している状態を「生計を一にする」と言いますが、この状態で支給する給与は経費になりません。
②しかし、「青色事業専従者の要件」を満たせば、経費にすることができます。
そもそもの話ですが、別居しているなど「生計を一」にしていないのであれば、他の職員様同様、経費にすることができます。
ただ、実務上はあまり見かけず、②の要件の問題になります。
この要件がいくつかあるのですが、ご相談が多いのがこの2点です。
(1)仕事の対価として相当な金額であること
(2)クリニックの事業に専ら従事していること
どちらも具体性がないため、難しい判断となります。
まずは、(1)相当な金額についてです。
ざっくり言うと、奥様などの専従者が事務の仕事をしているのであれば「事務員としての給与」、医師や看護師なのであれば「その専門職としての給与」ということです。
さらに、そうした職務の性質に対して相当かということのみならず、「常勤として」、「非常勤として」という業務量に対して相当かという視点もあります。
実務上、1番多いのは「事務や総務をメインとした院長の右腕としての仕事」だと思います。
常勤の事務や総務・・・と考えると月20〜30万円で賞与(夏1ヶ月+冬1ヶ月)=280万円〜420万円くらいといえます。
そこに加えて、職員の採用等院長先生のサポート業務もあるわけですので、通常の職員とは責任や業務範囲が違います。
その分を加味して、600万円/年くらいが実務上の基準ラインと考えて良いかと思います。
しっかり業務をしているのであれば、600万円以下で否認されたという事例はほとんど聞いたことがありません。
とはいえ、事務・総務といった肩書だけではいけません。
税務調査の際は、具体的な業務内容を確認されることがありますので、しっかり仕事の記録を残しておくことが大切です。
より詳細な仕事の状況による個別判断になりますので、顧問税理士と相談の上、金額決定してください。
医療経営 中村税理士事務所では
(2)「専ら従事している」という要件についての、実務上のラインについてはまた次回解説させて頂きます。
弊所では青色事業専従者給与を税務調査で否認されないために、「根拠と証拠を残すこと」を大切にしています。
金額に見合う業務内容を立証できることが重要だからです。
税務調査では、作成された書類の筆跡やネットバンキング等へのログイン履歴、出勤記録や職員様へのヒアリング等、いろいろな角度からチェックが入ります。
業務内容や作業手順、投下時間など、妥当な金額であることを詳細に説明できるようにしっかり準備しておけば大丈夫です。