令和7年度税制改正大綱と医療経営への影響Q202
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
昨年末に税制改正大綱が発表されて久しいですが、各顧問先様の先生方からは様々な反応が出ています。
「あんまり影響ないかな」
いわゆる103万円の壁対策で働きやすさを目指しているはずですので、医療機関においても特にパートさんについては労働時間の増加が見込めるかと思います。
ただ、そんなに壁が低くなるわけではないので、上記のようなご意見が多い印象です。
そこで今回は令和7年度税制改正について、要点を解説していきます。
実際には、この後しっかり確定することになりますが、現状でどのような影響を及ぼすか、考えていきましょう!
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・令和7年度税制改正について、要点を押さえておきたい先生
103万円の壁対策とは
給与収入は、現状の103万円から123万円となります。
・現状:基礎控除48万円+給与所得控除55万円=103万円
・改正:基礎控除58万円+給与所得控除65万円=123万円
扶養の範囲が20万円分広がり、働きやすくなるわけです。
令和7年分の所得税から適用となりますので、実務上は年末調整や確定申告にて適用される形になると思います。
ちなみに、住民税の基礎控除の方は従来の43万円から変更がありません。
地方の税収財源に配慮した形になっていますので、所得税と住民税で課税所得に差が広がる形となりました。
先生方への影響は
基本的に影響が出るのは、職員様のみと考えてよいと思います。
改正の影響を受けるラインは下記のとおりです。
①基礎控除→合計所得金額2,350万円以下の人
②給与所得控除→給与収入190万円以下の人
どちらも制限ラインを超える先生が多いと思います。
ただし、扶養の方の改正は適用を受けることができますので、次で見ていきましょう。
扶養控除は親の所得要件なし!
19歳以上23歳未満の扶養親族についても、改正が入っています。
・現状:年収103万円以下→63万円の控除
・改正:①年収150万円以下→63万円の控除
②①を超えて年収188万円以下→3~63万円の控除(所得に応じて減っていく)
お子様がいわゆる大学生の時期にお金がかかることを考慮して、扶養控除の金額大きくなっていますが、アルバイトなどを積極的にすることで扶養から外れてしまうケースありました。
それが、188万円まではなにかしらの控除がとれますので、アルバイトしながら親の扶養へという形がとりやすくなります。
これは親の所得制限がありませんので、しっかり扶養控除の適用を受けるようにしましょう!
確定拠出年金も要注意
上記以外にも、iDeCoも改正がありました。
1.iDeCo(企業型含む)の拡充→掛け金の増額
2.将来一時金を受け取る際の課税の取り扱い→退職所得控除の縮小による増税
1の掛け金の上限が増えた点は良かったのですが、2の一時金の受け取りに関しては役員退職金の受領時期にも影響がありそうです。
10年以内に両方受け取ると以前よりも課税が大きくなるイメージです。
いつ辞めるかというのは、非常に大切な問題です。
税金が全てではありませんが、税額に大きな差が出てきますので、より厳密に計画を立てる必要がありそうですね!