クリニックや病院で押さえておくべき令和5年度税制改正の内容とはQ177
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
昨年末に「令和5年度税制改正大綱」が発表されました。
NISAの拡充など、ニュース報道もあったとおりです。
今年の税制改正は多岐に渡りました。
「たくさんあって把握しきれないよ」
という先生もいらっしゃると思います。
当然、全部を押さえる必要はありません。
クリニックや病院の先生方に必要な部分をピックアップして解説していきます!
※この記事は次の人にオススメです
・税制改正のうち、クリニックや病院で重要な部分のみ知りたい先生
相続税と贈与税の課税の見直し
資産家である先生方にとって、相続・贈与に関する関心は高いと思います。
今回は「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」の両方に改正がありました。
まずは、暦年贈与についてです。
相続開始前3年以内の贈与が、相続時に再度加算されることはご存知の先生が多いと思います。
「駆け込み防止策」とも言えるもので、相続税対策として実行しても、直前3年間の贈与を無効化するものです。
◯改正前:3年以内→改正後:7年以内
◯延長した4年間部分については、累計で100万円の控除・・・毎年ではない点に注意が必要です(=節税効果低い)
◯令和6年1月1日以降の贈与から適用・・・今年はまだ改正前(=3年間)の適用となります
◯令和9年1月1日以降の贈与から徐々に加算期間が増え、令和13年1月1日以降からフルの7年間の贈与となります。(令和8年12月以前の相続は従来とおり)
つまり、実際影響が出るのは、かなり先の話となります。
相続時精算課税制度は使いやすく
◯改正前:非課税枠2,500万円→改正後:非課税枠2,500万円+毎年110万円の非課税枠
◯令和6年1月1日以降の贈与から適用・・・今年はまだ改正前の適用となります
◯実際の相続の際にも、この各年の110万円の非課税枠については相続財産にはならない
◯贈与者ごとに選択適用可(例:父からの贈与を精算課税、母からの贈与を暦年贈与OK)
クリニックや病院においては、評価額が上がり続ける傾向のある「出資持分」の贈与について、相続時精算課税制度を適用することで「評価額」を贈与時の価額で固定できるというメリットがありました。
このメリットは維持したまま、別途、毎年110万円の非課税枠が加わったわけです。
医療機関において、十分検討に値する改正になりました。
今一度、精算課税制度の基礎を振り返っておきましょう。
※改正前の相続時精算課税の基礎については下記で解説しています
改正に沿った対応を!
今回の改正は、これまでの相続税対策について、選択肢を増やすものとなっています。
ほぼ暦年贈与1択だったものに、相続時精算課税も検討しうるものになりました。
とはいえ、精算課税のメリットやデメリットは従来とおりです。
専門家に相談の上、しっかり対策を立てて、節税していきましょう!