令和4年度税制改正の中から医療機関が知っておくべきことQ155

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

令和4年度税制改正が発表されました。

先生方は税制のプロではありませんので、全てを抑えて頂く必要はありません。

たくさんある改正項目の中から顧問先の医療機関に関係するものだけ、整理してお伝えするのが顧問税理士の役割です。

先生は、ご自身に影響があるものだけ知っておけば十分です。

そこで今回の改正の中から2点だけ、解説していきます。

令和4年度税制改正は、この2点だけ知っておけば十分です。

※この記事は次の人にオススメです。

・令和4年度税制改正について、医療機関に影響するものだけ効率的に知っておきたい人

令和4年度税制改正の中から医療機関へ向けて

ひとつめは「賃上げ促進税制」です。

こちらは以前からあるものが、より高い節税効果となりました。

給与支給額が増えている先生は、必ず抑えておきましょう。

※出資金1億円以下の医療法人と個人開業医を前提

(1)給与等の支給額が前年度比で2.5%以上増加した場合

前年度に比べて増えた給与等の支給額に対して、30%の金額が節税となります。

例:前期給与支給額1億円→当期1.1億円の場合

増えた1,000万円×30%=300万円

(2)さらに教育訓練費(=職員様の研修代)も前年度比で10%以上増加した場合

プラス10%・・・つまり、30%+10%=40%となります。

上記(1)の設例の場合、1,000万円×40%=400万円となります。

給与が増えていることは常に実感としてあると思いますので、教育訓練費の方はしっかり意識しておきましょう。

賃上げ税制の注意点

細かな注意点を列挙していきます。

①令和4年4月1日以降に開始する事業年度から適用開始となります。

今現在の事業年度ではありません。

個人開業医の先生は、令和5年から適用開始となります。

②上記(1)の2.5%以上の増加に届かなくても、1.5%以上の増加であれば、15%の税額が節税となります。

③これらの節税額は年間の法人税(個人開業医の先生は所得税)の20%が上限となります。

例:節税額400万円、年税1,000万円の場合

400万円 〉1,000万円×20%=200万円  ∴200万円

医療機関はぜひ使いましょう!

以前の所得拡大促進税制は、対象者の選定に時間がかかる等、なかなか手間のかかる税制でした。

しかし、これまでの改正により、非常に使い勝手の良いものになりました。

「教育訓練費が10%以上増えているか」という管理は忘れやすいので、注意しましょう。

給与支給額の増加は、職員様の所得の増加や新たな雇用につながっており、国もこうした税制を作り、促進しています。

給与支給額が増加している先生はしっかり適用を受け、しっかり節税していきましょう!