介護老人保健施設の消費税の取り扱いは?
※最終更新日:2020年6月9日
介護事業について、消費税が難しいという話を同業の税理士からよく受けます。
その大きな理由は、そもそも介護事業の区分が分かっていないことや医療よりも情報が集めにくいことにあるようです。
私の医療経営専門のこのブログをご覧の方につきましては、区分の方は問題ないと思いますので、消費税の取り扱いについて整理して解説していきたいと思います。
今回は介護老人保健施設などの施設介護サービスについて、見ていきましょう。
※この記事は次の人にオススメです。
・介護老人保健施設などに関わる消費税の取り扱いをしっかり押さえたい人
基本は非課税
介護事業の消費税は複雑なようで、意外とシンプルです。
施設介護のみならず、居宅介護や地域密着型なども通じて、考え方はほぼ共通しています。
介護老人保健施設や介護療養型医療施設、介護医療院や特別養護老人ホームについては、基本的に消費税は非課税です。
例外である課税のものを覚えてしまいましょう。
間違えやすいポイントは、「介護保険の給付対象=消費税が非課税」ではないという点です。
医療では、「保険=非課税」、「保険対象外(自由診療など)=課税」という図式が概ね成立していました。
その感覚で判断してしまうと間違ってしまいますので、ご注意ください。
「介護保険給付の対象から除かれる日常生活に要する費用」も非課税となります。
①食事
②居住に要する費用
③理美容代
④日常生活で通常必要な費用(利用者の希望によるタオルや歯ブラシなどの日用品など)
これらは保険の対象外ではありますが、消費税は非課税となります。
もちろん、介護保健施設サービス費や介護療養施設サービス費など本体の報酬部分は利用者負担部分を含めて非課税です。
そのほか、教養や娯楽として通常必要なものも非課税です。
課税となるものを覚える
反対に課税となるものは限定的です。
①特別な居室の利用に係る費用
②特別な食事に係る費用
上記共に利用者の選択によるもので、通常のサービスを利用した場合の費用との差額部分のみが課税対象になります。
通常の食事代と部屋代は上記にもあるように非課税ですが、特別なものである場合にはその差額部分のみが課税対象となりますので、ご注意ください。
同じ考え方で教養や娯楽に関する費用も、日常生活費に該当する範囲は非課税ですが、利用者の「嗜好品や贅沢品」は日常生活費には該当しませんので、消費税は課税となります。
介護・医療共通
そのほか、施設介護サービスに限った話ではありませんが、要介護認定申請代行費用や診断書料などの文書代関係、職員さんやお見舞いの方に提供する食事代は消費税が課税となります。
また、実習生の受け入れや自販機などの手数料関係の収入も課税です。
病院でも出てくる収入ですので、ここで併せて押さえておきましょう。
まとめ
今回は介護事業の消費税を解説してきました。
区分自体は難しくないと思います。
ただ、食事代や居室代をきちんと区分して、経理処理できていない施設も散見されます。
きちんと収入管理した上で、区分して経理処理が出来ていないと、そもそも正しい消費税の金額になりません。
きちんと経理が出来ていれば、介護事業の消費税は怖くありません。
まずは経理の確認から始めてみましょう。