医療機関が補助金に詳しくなるために!
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
「何かもらえる補助金ないですかね?」
こんな質問を顧問税理士にしたことはないでしょうか?
私は国の補助金はもちろん、お客様の所在地のある自治体(都道府県単位や市区町村単位)の補助金も最適なものをご提案しています。
その際、いつも思うのですが、医療関係や介護関係の方は非常に補助金に疎いということです。
それはなぜでしょうか?
そこで今回は、その理由と共に医療機関や介護施設の方々が苦手な「補助金」について、どう取り組んだら良いのか解説していきます。
これを読めば、「補助金」を身近なものに感じされるようになるはずです。
※この記事は次の人にオススメです。
・補助金に興味がある人
・医療機関や介護施設が使える補助金の探し方を知りたい人
補助金とは
そもそも、補助金とはどういう性質のものでしょうか。
よく聞く「助成金」とは何が違うのでしょうか。
(1)採択性であること
補助金は採択制といって、いわゆる審査があります。
つまり、必ず受給できるわけではないということです。その審査を勝ち抜く必要があります。
反対に、助成金は採択制ではありません。「要件主義」とも言われ、要件を満たしていれば基本的には受給することができます。
(2)相談窓口は税理士等
補助金の専門は、税理士や行政書士になります。
税理士や行政書士が約80%を占めると言われる「認定支援機関」も、専門窓口となります。
反対に、助成金は社労士が専門となります。
まずは、相談先の違いを認識しておきましょう。
※認定支援機関についてはこちらの記事で解説しています。
医療機関は補助金の対象外?
補助金はまず、国のものと自治体単位のものに分けることができます。
国の補助金として、経済産業省HPでは次の3つの補助金を「代表的な補助金」として紹介しています。
(1)ものづくり補助金
新商品や新サービスの開発支援をするための補助金です。
◯対象・・・個人開業医(主に歯科医院)
(2)小規模事業者持続化補助金
販路開拓等の費用を補助するための補助金です。
○対象・・・株式会社や個人立の介護事業者
(3)IT導入補助金
ITツール導入による業務改善を支援するための補助金です。
◯対象・・・医療法人や社会福祉法人(職員300人以下)
ご覧のように、医療法人や社会福祉法人がしっかり適用となるのは、「IT導入補助金」のみとなります。
なぜ、国が勧める代表的な補助金3つのうち、2つが実質的に使えないのでしようか。
それは、補助金が「中小企業」や「小規模事業者」の支援を目的とするものであり、医療法人や社会福祉法人は「特殊法人」として別枠扱いとなるためです。
前提から外れていると言えます。
厳密には、「事業承継補助金」等対象となる補助金はありますが、使用頻度が低い等、非常に用途が限定的なものが多いのが実情です。
逆を言えば、「IT導入補助金」はしっかり申請しておきたいところです。
補助金の調べ方
補助金はどう調べたら良いのでしょうか。
(1)国→「ミラサポplus」
「医療・福祉」の分野に絞って、検索することができます。
(2)自治体→「J-Net21」
「都道府県」単位で検索することができます。
各補助金につき、専門のHPがありますのでネット検索がオススメです。
特に、医療機関や介護施設の方にとっては国の補助金は頼りないものになりますので、鍵を握るのは自治体単位の補助金となります。
実務的には、「J-Net21」を使って検索するよりも、所在地の自治体のHPを直接見に行く方が早いかもしれません。
自治体単位の補助金は、地域医療の課題解決のために設けられているものになります。
例えば、産婦人科が少ない地域においては、産婦人科を誘致するために、開業資金を補助していたりします。
自院のためのみならず、地域医療に貢献することにもつながります。
ぜひ、国の補助金のみならず、自治体単位の補助金申請にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
補助金申請のコツ
補助金とは、国から見た場合、大きな投資であるといえます。
補助金を与え、対象事業を成長させることで収益が上がり、結果として税収が上がります。
つまり、申請する側としては、補助金を使って何がしたいのか、しっかりアピールして、事業の成長を予感させる必要があります。
それが採択率へ影響してきます。
補助金の事業計画書には、しっかり作文をしましょう。
詳しい方に添削してもらうこともオススメです。
補助金の専門家へ相談する
いかがでしたでしょうか。
「補助金が少し身近に思えたよ」
そう感じてもらえたなら、嬉しいです。
何事もそうですが、効率が良いのは詳しい人に相談してみることです。
補助金のことは税理士や認定支援機関、助成金は社労士から提案を受けましょう。
特に、最近はコロナ対策として、補助金や助成金には使いやすくなるように様々な特例が設けられ、また、改正が頻発しています。
自分たちでこうした最新情報をピックアップし続けることは難しいかと思いますので、専門家から提案を受ける意義は大きいかと思います。
また、補助金は資金繰りが改善するだけではありません。
IT導入補助金に代表されるように、現場の業務改善にもつながってきます。
それは、職員様の働きやすさやミスの減少、残業時間の減少にもつながってきます。
経営的には、残業代の削減にもなります。
幅広い視点で補助金をとらえると、その魅力が実感できると思います。
ぜひ、補助金を有効にご活用ください!