医療法人にとって良い生命保険とは?

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

法人・個人を問わず、生命保険に加入していると思います。

定期的に見直しをしていますでしょうか。

「勧められた保険に加入したままだよ」

こうした方もいらっしゃると思います。

生命保険は加入時の状況で判断し、良いと思われるものに加入します。

ということは、現状が加入時の状況と変われば、見直す必要があるわけです。

そこで今回は、医療法人と生命保険について解説していきます。

※この記事は次の人にオススメです。

自院で加入している生命保険の目的が不明確な人

生命保険の見直しを検討している人

加入の目的を明確に

保険の種類によりますが、大まかに見ると下記のような目的に分けることができます。

(1)死亡保障

医療法人にとって、理事長先生に万が一のことがあると大変です。

医院の運転資金や理事長先生の死亡退職金等、公私を問わず、大きなお金の準備が必要になります。

(2)資金繰り

医療法人を経営していると役員退職金の支払い等、多額の資金が必要になることがあります。

それは多くの場合、事前に見込めるものになりますので、計画的な準備が可能になります。

医療法人の内部に溜めておいても良いのですが、保険会社という「別のお財布(=外部留保)」に預けておくことで、確実に増やして行くことができます。

特に、業績悪化など急に資金が必要になることも想定されますので、解約返戻金や契約者貸付などで資金調達できるようにしておくことは大切です。

また、返戻金には「単純返戻率」と節税効果を加味した「実質返礼率」とがありますが、赤字の事業年度の場合には節税効果は発揮されませんので、「単純返礼率」を見るようにしましょう。

(3)当期の節税

全額損金の生命保険はなくなりましたが、半分損金など当期の利益を圧縮し、法人税等を減額してくれます。

ただし、解約返戻金や満期返戻金は課税になりますので、いわゆる「出口」での対策は必須となりますので、ご注意ください。

このように加入目的を明確にすることが前提となります。

その上で、「どのくらいの保険金額が必要か」を判断し、資金繰りに無理のない範囲で「保険料」の金額を見込んでいきます。

保険料は後で減額できますが、元本割れしますのでオススメできません。

最初にしっかり見込んでおきましょう。

つまり、こうした理事長先生のリスク対策や医院の財務上の調整役という目的を満たしてくれるのが生命保険ということであり、中長期的の計画に基づく保険選択が欠かせないことになります。

保障と貯蓄のバランスを

まず、軸となるのが解約返戻金のある貯蓄機能のある保険です。

終身保険・逓増定期保険・長期平準定期などが、その代表です。

生命保険による資産形成や資金調達、利益調整には貯蓄型が向いています。

その上で、保障が足りないのであれば、掛け捨て型の保険を足していけば良いと思います。

貯蓄機能のある生命保険は法人経営には必要不可欠ですが、その分、契約者の選定や保険期間や保険金額、解約時期、解約時の税金対策など、事前に決めておくべきことがたくさんあります。

この生命保険を有効に活用するためにも、専門家と相談の上、納得して加入することが大切です。

契約者と受取人は変更できる

中長期的な計画を立てた上で、生命保険に加入することは大切なことです。

ですが、その計画と現状が変わってしまうこともよくあることです。

そこで検討したいのが、生命保険の契約者や受取人の変更です。

ちなみに、被保険者は保険料や保障内容の元になるため、変更することはできません。

法人で契約した生命保険を個人に名義変更して、個人へ渡すことも可能です。

役員の退職に際して変更し、役員退職金の一部として支給したり、解約返戻金が大きく上がるタイミングで変更し、差額を個人で享受したりします。

まとめ

生命保険に加入すると、当然、お金が生命保険会社に入りますので、自由に使えるお金ではなくなります。

この強制力が、病医院経営においては「別財布」を生み、必要な時の資金調達として機能してきました。

ところが、このコロナ禍においては、内部留保(=病医院内部に溜まったお金)の必要性が高まりました。

苦しい時に、「すぐに出せるお金があるかどうか」が資金繰り上重要だからです。

それに対し、生命保険各社も「契約者貸付」にコロナ対策特例を設けて、使いやすいようにしてくれました。

結果として、「直近の不安のため、内部留保が大事」であり、かつ、「将来のために、別財布(=外部留保)も変わらず大事」という両立しない状況となっています。

どうしたら良いのでしょうか。

大切なことはその配分です。

当期の経営のためにいくら必要になるのか、そして、将来のためにいくら回すことができるのか、この配分です。

それをしっかり判断するために、「資金計画」を高い精度で完成させることが大切です。

そして、出口に至るまでの中長期的な計画が必要となるということは、同じく中長期的に相談できる信頼できる相手も必要となります。

ぜひ、専門家にご相談ください。

今あるお金をしっかり配分し、安心して経営していけるようにご提案させて頂きます。