知っておきたい資金調達4つのポイントとは?
最終更新日:2020年5月19日
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
病院やクリニックの経営を考える上で、資金調達は欠かせません。
株式会社であれば、増資や社債の発行等いろいろな資金調達の方法がありますが、医療機関である場合、「資金調達=金融機関からの借り入れ」と言っても過言ではありません。
「銀行からどう見られているんだろう」
「どうしたら、もっと有利な条件で借りられるのだろう」
こうした疑問点もあると思います。
そこで、今回は銀行を中心に、金融機関からの借り入れの際、注意すべきポイントについて解説していきます。
※この記事は次の人にオススメです。
・金融機関の視点を学びたい人
・金融機関対策をしたい人
銀行は決算書をチェックする
銀行は資金融資を検討する際に、決算書をチェックします。
融資して良いか、数字で判断するわけです。(=定量要因)
もちろん、数字のみならず、病院の将来性や経営者の人柄や能力など、数字に表れない部分(定性要因)も評価しますが、軸は数字で評価できる部分です。
それでは、決算書をどのように判断するのでしょうか?
ポイントは、大きく分けると4つにまとめられます。
(1)損益計算書的な論点(経常利益や医業収入の推移)
(2)貸借対照表的な論点(預金や未払金、役員貸付金・役員借入金の内容)
(3)財務分析(償還年数など)
(4)担保(担保になる資産の評価や他行からの借入金)
損益計算書的な論点とは
損益計算書を見て、すぐに判断できる内容です。
直近3年間くらいの医業収益の推移や、経常利益を見て判断します。
当然、赤字であれば、評価は一気に下がります。
貸借対照表的な論点とは
貸借対照表を見て、すぐに判断できる内容です。
まず、預金の残高はいくらであるか、それの対となる長期借入金の残高はどれくらいか。
預金の残高がたくさんあっても、それが前期に借りたばかりの長期借入金であれば意味がありません。
月の固定費の3倍くらいは、欲しいところです。
医療法人だと運営規則の絡みもあり、ほとんど見かけませんが、役員貸付金も要注意です。
役員への個人的な支出を疑われます。また、医療法上でも問題がありますので、すぐに精算するようにしましょう。
また、税金や社会保険料が長期間未払いになっていることは、非常に心象が悪いことです。
こちらも精算してから、融資に望みたいところです。
財務分析
このブログでも、「財務分析」については、たくさん解説していきました。(「財務分析」のカテゴリーをご参照ください)
財務分析は病院やクリニックの経営分析をするものですので、当然、金融機関がしても融資に値するのか、非常に多くの情報を得ることができます。
ひとつ目が、「債務償還年数」です。(「Q56「病院やクリニックの借入はいくらまでできるのか?」をご覧ください)
現状のキャッシュベースの利益で、あと何年くらいで借入金を返済できるかというものです。
通常、7年くらいで事業用借入をすることを考えると、5年以内に収まっているようだと評価が高いようです。
もうひとつが、「借入月商比率」です。
シンプルに、月商何ヶ月分の借入かということが分かります。
これは、4ヶ月くらいで収まっていると評価が高いようです。
逆に、借入月商比率が12ヶ月以上(年商並みの借入金)だと、危険と判断されます。
担保の評価
貸す側から見ると、担保の評価も大切です。
いざという時に、資産を処分した時の返済能力を示します。
代表的な土地などは70%程度で評価されるようです。
また、他行からの借入(借入金額や借入先)もチェックされます。
より良い決算書とは
基本的な考え方は、損益計算書と貸借対照表の改善です。
会計基準や経理規定に違反しない範囲であることは当然ですが、損益計算書では利益が増えるように、減価償却費や未払費用、租税公課の計上時期について検討します。
また、貸借対照表については、支払日を決算日後にして預金残高を増やしておくことや、遊休資産の売却、役員借入金の免除などについて検討します。
いずれにしましても、根本的な経営改善策ではありませんので、別途、改善策の実施は必要となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
医療機関の資金調達は、金融機関からの借り入れがメインとなります。
金融機関は医療機関をどう見ているのか、その基準を知り、評価される医療機関となりたいですね。