クリニックの青色事業専従者給与はかけもち禁止なのか?Q161

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

今回も前回に続いて、クリニックの青色事業専従者給与について解説します。

ご相談の多い2トップが「経費になる金額」「専従要件」です。

金額については前回解説していきました。(下記リンクあり)

そこで、今回は「専従要件」を見ていきます。

つまり、「クリニックの仕事に専念していないといけないのか」ということです。

他にもやりたい仕事があるかもしれません。

「やりたいことがあるけど、専従じゃないといけないから諦めよう」

これではかわいそうです。

過去の判例なども踏まえて、OKラインを解説していきます。

※この記事は次の人にオススメです。

・青色事業専従者給与を支給するクリニックの院長先生

青色事業専従者給与は専従必須なので仕事のかけもちはダメ?

まず、前提ですが、ご存知のとおり青色事業専従者給与は「その事業に専ら従事していること」が要件です。

具体的に、所得税法施行令では「他に職業を有する者」は専ら従事したことにはならないと言っていますが、

但書で「その職業に従事する時間が短い者や、その事業に専ら従事することを妨げられない者は除く」とされています。

つまり、かけもちするのであれば、この但書に該当する必要があるわけです。

クリニックに従事する時間以上に長い時間働くことや、クリニックの診察時間中に働くことは認められない可能性が高いということです。

税務調査官に「クリニックに専ら従事していないね」と言われないようにする必要があります。

青色事業専従者給与のかけもちOKの範囲はどれくらいか

過去の判例では、かけもち先で週5日働いていたケースが否認されています。

また、かけもちしていても「事務作業量がわずかである」として、業務量の観点から認められたケースもあります。

最低でも労働日もしくは労働時間が重複しないようにしましょう。

大事なことは前回と同じです。

専従者の業務内容をしっかり立証することです。

その上で、クリニックの業務に支障がない(専ら従事できている)ことが明らかになれば、経費として認められるわけです。

特にこのコロナ禍において、在宅勤務で事務仕事をするケースも増えていると思います。

より立証が難しい面がありますので、より慎重に、業務に従事した内容や時間を証明できるように準備しておきましょう!

※前回の記事も併せてご覧ください。

「Q160  クリニックの青色事業専従者給与は金額と専従がポイント