医療機関で大切な教育訓練はいつやればいいの?Q211
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
人的産業である医療機関(医療法人や個人開業医)は人件費が上昇傾向にあります。
最低賃金の上昇もあって、医療機関に限らず、他の多くの産業でも同じかと思います。
そこで大切になってくるのが、賃上げ促進税制であり、その控除率を増加してくれる「教育訓練費」の取り扱いです。
「教育訓練(研修)を実施して、通常30%の控除率を40%にしましょう。」と顧問税理士から言われているはずです。※中小企業向けを前提
ところが、期末に言われため、「支払だけして、今期中に研修ができない・・・。」というパターンもあるようです。
逆に、「研修はしたけど、支払が翌期になってしまった・・・。」というパターンもあり得るようです。
そこで今回は、先生方からご質問の多い「賃上げ促進税制に関する教育訓練費」の「時期」にフォーカスを当てて解説していきたいと思います。
※この記事は次の先生にオススメです
・賃上げ促進税制の適用を受けたい先生
・教育訓練が期末間際になりそうな先生
損金算入日が当期であるか
結論から申しますが、今期に損金算入された教育訓練費が対象です。
「損金算入日」が判定基準となるということです。
ざっくり言えば、「経費に計上した日」という感じです。
損金算入とは、その事業年度終了日までに債務の確定しているものに限られ、下記3要件全てを満たすものを言います。
つまり、この3つを満たすものが債務確定していて、損金算入されることになり、教育訓練費としてこの事業年度に認識されることになります。
(1)費用に係る債務が成立していること
(2)その債務に基づく具体的給付が発生していること
(3)金額が合理的に算定できること
具体例
国税のサイトには修繕費の例が挙がっています。
「建物等の修繕を発注し(1)、業者によって修繕が完了し(2)、その金額が見積されていること(3)」となっています。
修繕が完了して、請求書も届いて、あとは支払のみというイメージですね。
今回の教育訓練費で見ています。(3月決算法人を前提)
・今期3月に研修を実施し、請求書を受領
・その後翌期4月に支払
この場合、上記3要件を満たしますので、今期中に債務確定しているとして、今期中に未払金として損金算入した場合には今期の教育訓練費となります。
まとめ
賃上げ促進税制の控除率が、30%か40%かというのは控除税額の上で大きな違いです。
今回はご相談が多いため、期をまたぐようなケースについて解説していきましたが、本来は計画的に研修を実施していくことが望ましいと思います。
期末に焦ることがないように、しっかり計画を立てた上で、40%の控除を取っていきましょう!
