医師のための上手な生前贈与の進め方とは?Q 185

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

今回は前回に続いて「生前贈与」の続きです。

資産家である医師にとって、相続税は大きな問題です。

その問題解決の鍵となる「生前贈与」について、その進め方のポイント3つに絞って解説していきます。

前回と併せてご確認ください。

※前回はこちら

医師のための上手な生前贈与の進め方(前編)

※この記事は次の人にオススメです

・将来の相続税のために生前贈与を進めたい開業医の先生

将来評価額が上がるのものは最優先

将来価値が上がるものは、同時に将来税負担が増えるものになります。

その代表例が「医療法人の出資持分」です。

医療法人の出資持分は基本的には利益の蓄積に伴い、その評価額は増加の一途です。

そのため、贈与することによって、増加部分を先生の相続財産から外すことができます。

理想としては、後継者候補を早め定めて、早期に持分の贈与による移転を始めたいところです。

あとは「賃貸不動産」なども、このカテゴリーに入ります。

ご自身で受け取るはずだった賃料をお子様などが受け取ることで、相続税対策となります。

感覚的にご理解頂けると思いますが、注意点もあります。

①ご自身の収入も減ってしまいますので、ライフプランへの影響がないようにしましょう。

②税負担を考慮して不動産管理を行う法人化も検討しましょう

③収入が増えることに伴うお子様自身の就労意欲低下のリスク

評価の引き下げを行う

これも代表例は「医療法人の出資持分」が挙げられます。

やはり、医師の相続・相続税対策の象徴的存在ですね。

持分の評価を下げる対策はたくさんありますので、下げた後に贈与を行いましょう。

これも注意点があります。

・経営体力を下げすぎないこと

現状、持分の評価を下げる対策の多くは「お金の出費」を伴うものです。

つまり、お金をどんどん出し、経営体力として「痩せれば痩せるほど」評価額は下がる仕組みになっています。

その反面、何かあった時に資金繰りに余力がなくなってしまうのです。

対策のやりすぎで、外的環境の変化(例:近年のコロナ)に対応できなくなる医療法人もありました。

また、保有している「現金を不動産化すること」もこのカテゴリーになります。

仮に1億円の現金も賃貸不動産にすることで、6,000万円程度まで評価を下げることができます。

これにも注意点があります。

①現金がなくなることで、相続税の納税資金に困らないようにする

②賃貸経営自体に空室等の経営リスクが存在する

孫へ世代飛ばし

相続税には、孫へ相続した時の税額を2割加算するというルールがあります。

ただし、贈与にはこの2割加算がありませんので、お子様への贈与と同様に贈与を行うことができます。

これも注意点としては、お孫さんの収入が増えることに伴う就労意欲低下のリスクに注意しましょう。

まとめ

これ以外にも「贈与をした場合に移転コスト(例:税金)」が発生することにも、注意が必要です。

これらの移転コストを考慮した上での収支が大切です。

上記3つのポイントそれぞれに注意点があったと思います。

この注意点が判断を難しくしますが、気をつけながら、上手に生前贈与を進めていきましょう!