病院やクリニックの年末調整の改正点とは?

 

※最終更新日:2020年6月9日

私の顧問先は医療機関ばかりですので、毎年、年末が近づくと病院やクリニックの経理担当の方から受けるご相談があります。

「今年の年末調整って、去年と変わることありますか?」

ご自身で計算される方もいらっしゃいますし、外部に委託しているので年末調整に使う資料配布のみ担当されている方もいらっしゃいます。

やはり、「職場の人から質問を受けた時に困る」というのが、共通のお悩みのようです。

そこで、今回は年末調整について、解説していきます。

※この記事は次に人にオススメです。

年末調整の改正が職員に対して、どんな影響があるのか押さえておきたい人

今年はないが来年が大変

結論から申しますと、今年の年末調整は去年と比べ、変更点はありません。

同じように計算してください。

ただし、次々回(令和2年)の年末調整は大きく変わります。

その影響で、年明け令和2年1月から注意が必要です。

少々気が早いですが、令和2年の改正点を見ていきましょう。

令和2年の改正点

下記の3つが大きな変更点です。

(1)給与所得控除の改正

給与所得控除が一律10万円の引き下げ

給与所得控除の上限が、「収入金額850万円で195万円」に引き下げ(現状は収入金額1000万円で220万円)

(2)基礎控除の改正

基礎控除が10万円引き上げ

合計所得が2400万円を超えると逓減され、2500万円を超えると適用なし

(3)所得金額調整控除

給与等の収入金額が850万円を超える所得者(=(1)の上限にかかる人)で、年齢23歳未満もしくは特別障害者である扶養親族を有するものや自身が特別障害者であるものは、その給与等の収入金額(1000万円を超える場合は1000万円)から850万円を控除した金額の10%を、給与所得から控除する。(=(1)②の増税分を解消)

そして、これらの改正に伴って、扶養親族などの合計所得金額による判定要件も10万円ずつ上がることになります。

また、書式の上でも、「給与所得者の基礎控除申告書」や「所得金額調整控除申告書」が新設され、正式決定はしていませんが、現状の「配偶者控除等申告書」に統合される予定です。

医療機関での影響は?

このブログは医療経営専門のブログですので、年末調整も医療経営目線でお伝えします。

(1)理事長先生や院長先生

役員報酬をもらっている先生は850万円以上でしょうから、給与所得控除の改正で増税となります。

ただし、その給与も含めた年間の合計所得が2400万円以下で収まっている先生は、基礎控除の改正で緩和されますが、若干の増税となります。

また、2400万円を超えても、扶養親族であるお子様や特別障害者に該当する方がいらっしゃる先生は、所得金額の調整を受けることができ、給与所得金額の改正で増税となった分が緩和されますので、同じく若干の増税となります。

結果、合計所得金額が2400万円を超え、かつ、扶養親族であるお子様等がいらっしゃらない先生が最も影響が大きく、約30万円程の増税となります。

(2)職員様

医療機関の職員様で給与収入が850万円を超える方はほとんどいらっしゃらないと思いますので、給与所得控除が下がり、同額基礎控除が増えますので、影響はありません。

超える方につきましては、上記(1)理事長先生等と同じです。

まとめ

なぜ、給与所得控除が下がり、同額、基礎控除が増えるのでしょうか?

ほとんどの方が影響ない話です。

これは、日本の働き方が変わってきたためです。

税制創設当時はほとんどの人が給与所得者でした。

しかし、今はフリーランスのような自由な働き方の人が増えています。

そこで、給与所得者しか恩恵を受けることができない給与所得控除ではなく、基礎控除を重視したのです。

ただ、その裏で2500万円を超える人に基礎控除の適用がなくなりました。

高所得者には増税となる話で、働き方とは何ら関係のない増税です。

そもそも基礎控除とは、最低限の生活を送るための保障という意義があります。

高所得者には、国として保障がなくて良いのでしょうか?

理事長先生や院長先生が日々背負っている責任や緊張感、社会的価値を思うと腑に落ちない改正です。

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