医療法人のM&Aとは(持分ありと持分なし)

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

弊所では、M&Aを行う事業者様との繋がりもあるため、「事業譲渡」についてご相談をいただくことがあります。

「もう辞めたいので、医療法人を誰かに売りたいと思っている」

こうしたご相談を頂くことがあります。

「取引先の医療法人が、どのように事業譲渡したら良いか困っている」

「買ってくれる先は見つかりそうだけど、税務上や医療法上問題がないか、見て欲しい」

M&Aを取り扱う事業者様側から、こうしたご相談を頂くこともあります。

近年では、M&Aという言葉も身近になり、解散や清算するくらいなら、売却しようとする先生が増えています。

特に、このコロナ禍においては、「売りたい」というニーズが高まっているようです。

そこで今回は、医療法人のM&Aにおいて、ご相談の多いポイントをピックアップしてお伝えします。

※今回の記事は次の人にオススメです。

「医療法人のM&Aについて、興味がある人」

医療法人で持分ありのケース

持分のある医療法人の場合、その持分の評価が非常に高額になりがちです。

もともと他業種に比べ、利益率が高い上に、配当が出来ません。

利益が蓄積していくことは大変良いことですが、比例して持分の評価額が高くなり、自動的にその相続税や贈与税が高額となります。

通常は、役員退職金を支給し、評価が下がったタイミングで、譲渡します。

評価を毎期コンスタントに下げる方法は役員報酬・役員賞与くらいで、臨時に下げる方法は役員退職金や大規模修繕くらいです。

その評価を下げる方法を取ったとしても、すぐに「比準1」になってしまうため、計画的な利益コントロールが必要となります。

(比準1になると、評価額が上昇します)

これらの持分の評価が高騰しやすくなる特徴は、そのままM&Aに影響します。

M&Aの形式には、3パターンあります。

(1)事業譲渡

行政の許可が必要であり、手続きも長くなります。病院の場合、病床の引き継ぎができません。

(2)合併

同じく、行政の許可が必要であり、手続きも長くなります。ただし、病床の引き継ぎが可能です。

(3)持分譲渡(+理事長交代)

実務上、最もオススメできるのがこの形になります。

実際に、持分のある医療法人のM&Aと言えば、ほとんどがこの形になっています。

譲渡側の医療法人の社員が持分を譲渡して退職するか、払戻請求権を行使して払戻しを受けた上で退社します。

それを受けて、買収側から新たに社員が入社手続きを行うことで、社員交代となります。

この持分譲渡(+理事長交代)パターンの場合、行政の許可は不要で届出のみでOKです。

そのため、手続きも短く済み、病床もそのままです。

持分の譲渡と共に、社員総会で社員を交代し、理事会で理事を交代して手続き上は完了します。

持分の譲渡のみでは、完了しませんのでご注意ください。

ちなみに、内部留保がしっかりある医療法人から払戻を受けた場合には、出資者は配当所得として課税されます。

配当所得は総合課税といって、最高45%で所得税が課税されますので、配当所得課税が過大になりすぎない対策もセットで必要になります。(払い戻す側の医療法人は、配当として20.42%の源泉徴収が必要)

そのようにならないように、必ず専門家にご相談ください。

M&Aの譲渡対価はいくらか

M&Aの譲渡対価はいくらに設定したら良いのでしょうか。

この金額設定には、いろいろな考え方があります。

ただ、贈与や相続と違い、基本的に第三者との取引となると思います。

第三者間であれば、合意した金額がいわゆる時価となりますので、税務上の問題は生じません。

その合意しうる金額の算定方法は複数ありますが、その複数の金額の中から売主側と買主側、双方が納得できる金額で合意します。

算定方法の計算につきましては、専門家にご相談頂くことをオススメします。

医療法人で持分なしのケース

持分のない医療法人の場合、持分がないわけですから、上記の持分譲渡+理事長交代ということにはなりません。

基本的には、理事長交代に加え、社員交代をする形になります。

ただ、譲渡対価がありません。

それでは、譲渡する側は旨みがないため、社員交代のみではなく、譲渡対価が存在する事業譲渡の形をとることになることが一般的です。

持分なしの医療法人の場合には、出口(M&A時)において、持分ありと比べて難航する傾向があります。

これから医療法人を新設する先生は、必ず持分なしに該当しますので、この点を頭に入れておきましょう。

事前にしっかり確認すべきこと

医療法人のM&Aについては、下記の3つをしっかり確認しておくことが大切です。

(1)出資持分(誰がいくら保有しているか)

(2)社員は誰か

(3)理事は誰か

こうした論点をしっかり把握した上で、整理しておくことが第一歩です。

持分譲渡をしようとしても、または、社員交代しようとしても、こうした論点が固まっていなければ話が始まりません。

まとめ

「医療経営 中村税理士事務所」では、事前確認をしっかり行い、複数ある選択肢の中から、ベストな方法をご提案させていただきます。

専門家と一緒に、順序立てて進めていけば、怖いものはありません。

お任せください!