住宅ローン控除とは?確定申告での注意点まとめQ139

 

こんにちは。

「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。

住宅ローン控除は、頻繁に改正が入っています。

税理士として、常に知識を整理しておきたい税制です。

「今年、住宅買おうと思っているんだ」

こうしたご相談をお客様から頻繁に頂きます。

大きなお金が動く時は、必ずお声掛け頂いています。

そこで今回は、令和2年分の確定申告がまだという先生と、令和3年中に居住される先生(令和3年分確定申告)へ向けて、最新の住宅ローン控除について解説していきます。

確定申告での注意点についても網羅していきます。

※この記事は次の人にオススメです。

住宅ローン控除の適用を受けようとしている人

住宅ローン控除とは

まずは、基本となる要件のうち、代表的なものを見ていきましょう。

(1)国内において新築または一定の中古住宅を取得して、適用年の12月31日までに居住していること(取得から6ヶ月以内に居住)

(2)償還期間10年以上の借入金(上限4,000万円(認定住宅は5,000万円))

(3)住宅の床面積50㎡以上(登記簿上)

(4)適用を受ける年分の合計所得金額3,000万円以下

他にも細かい要件はありますが、開業医である先生はこの辺りの要件を押さえておきましょう。

やはり、最大のネックは(4)の所得金額要件です。

医療法人の場合、役員報酬の平均額は収入ベースで2,400万円程というデータがあります。

これに、個人名義の学校医や報酬等合算した金額で判定されますが、平均的な役員報酬2,400万円(給与所得約2,200万円)であればセーフです。

住宅ローン控除の控除額は

(1)通常

◯当初10年間

年末残高(最高4,000万円)×1%=控除額(最高40万円)

◯11年目〜13年目

税抜対価(最高4,000万円)×2%÷3か年末残高の1%のいずれか少ない方

※消費税が8%から10%に上がった事による2%部分を11年目以降の3年間で控除することができます。

これにより、8%時代と変わらないようにしています。

(2)認定長期優良住宅または認定低炭素住宅

◯当初10年間

年末残高(最高5,000万円)×1%=控除額(最高50万円)

◯11年目〜13年目

税抜対価(最高5,000万円)×2%÷3か年末残高の1%のいずれか少ない方

上記(1)と(2)共に、所得税から控除しきれない時には、翌年度の住民税から136,000円を上限として控除されます。

また、令和3年中に居住され、令和3年分の確定申告で住宅ローン控除を適用される先生については、上記各11年目〜13年目の取り扱いはなくなる予定でしたが、令和3年度税制改正によって一定の要件(※)のもと、適用が延長されて引き続き適用を受けることができます。

(※)注文住宅→令和2年10月〜3年9月までに契約し、令和4年12月までの居住

(※)分譲住宅→令和2年12月〜3年11月までに契約し、令和4年12月までの居住

確定申告での注意点

注意点がたくさんありますので、順に見ていきましょう。

(1)合計所得金額3,000万円の判定

特定口座の株の譲渡益は申告するか、申告不要か選択できますが、申告する場合にはこの合計所得金額に含まれますのでご注意ください。

株の所得税の有利・不利だけではありませんので、慎重に判断しましょう。

(2)合計所得金額の調整

この規定は、合計所得金額が3,000万円を超える年のみ、控除を受けることができないという規定です。

逆を言えば、3,000万円を下回った年については、控除を受けることができます。

個人開業医の先生である場合、事業所得がメインとなりますので、業績悪化した場合には自然と要件を満たす可能性があります。

医療法人の先生である場合には、役員報酬がメインとなりますので、社員総会・理事会の決議を経て減額改定することができます。

その場合には、もちろん家庭に入るお金が減ってしまいますので、住宅ローン控除を取れるメリットと天秤にかける必要があります。

(3)住宅の床面積の判定

登記簿上で判定していきます。

パンフレット等では柱などの関係で50㎡以上となっていても、登記簿上は50㎡以下ということもありますので注意が必要です。

また、床面積40㎡〜50㎡でも対象になりますが、合計所得金額1,000万円以下であることも要件となりますので、多くの開業医の先生方には厳しいと思われます。

(4)土地の取り扱い

住宅と共に取得した土地に関わる住宅ローンも対象となります。

(5)居住用財産の譲渡益の特例との関係

その適用を受けようとする年の前々年から翌年以後3年間(トータル6年間)で居住用財産の譲渡の特例を受ける場合には適用がありませんので注意が必要です。

(6)居住用財産の譲渡損の特例との関係

上記、(5)の譲渡益の特例とは反対に、譲渡損の特例とは併用が可能です。

 

※居住用財産の譲渡に関する特例については、このブログでも解説していますので、こちらもご覧ください。

Q102「自宅を売却した時の確定申告特例まとめ

認定住宅新築等特別控除との関係

最後に、「認定住宅新築等特別控除」との関係も見ていきましょう。

「認定住宅新築等特別控除」とは、認定住宅に係る標準的な費用の額(最高650万円)の10%の控除(最高65万円)を受けることができるものです。(控除しきれなければ、翌年の所得税から控除)

取得した住宅が上記の認定住宅である場合には該当しうる規定ですが、住宅ローン控除との選択適用となっています。

単純な控除額だけを見れば「認定住宅新築等特別控除」の方が大きく見えますが、住宅ローン控除は10年にわたり控除できる可能性がありますので、通常は住宅ローン控除の方が有利になると思われます。

最後に

住宅ローン控除は知名度は高いのですが、改正も多く、適用を受けるための要件もたくさんあります。

住宅の購入を検討される際には、事前に顧問税理士に一声お掛けください。

控除を受けるためのアドバイスをしっかりさせていただきます!