要注意!医療法人が寄付しても節税になるとは限らない
※最終更新日:2020年7月15日
こんにちは。
「医療経営 中村税理士事務所」の中村祐介です。
病院やクリニックを経営していると、人や地域・組織との繋がりが欠かせません。
そうした中で、「寄付」を求められることも多いと思います。
「誰かのためになるし、経費にもなるし、いいんじゃない」
いえいえ、「寄付」が全額経費になる・・・とは限らないことをご存知でしょうか。
そこで今回は、病院やクリニック(医療法人)が行う「寄付(=寄附)」の取り扱いについて解説していきます。
個人開業医の方については、次回解説していきますので、そちらをご覧ください。
※この記事は次の人にオススメです。
・寄付したお金で節税したい人
・寄付の税務上の取り扱いを確認したい人
まずは寄付の種類を分ける
(1)国・地方公共団体・指定寄付金(財務大臣が指定する先)
全額経費計上OK
(2)特定公益増進法人
一定の限度額まで経費計上Ok
公益法人や公共法人のうち、認められた一部の法人を言います。
実務上は日本赤十字社や日本私立学校振興・共済事業団、一定の社会福祉法人や学校法人が該当します。
(3)それ以外の寄附金
上記(2)より狭い別枠の限度額まで経費計上OK
まずは、寄附先に応じて3つに区分しましょう。
区分は寄付した時の領収書や寄附の募集要項、寄附先のHPなどから判断することができます。
2種類の制限を受ける
それでは、上記の区分に対応させる形で、限度額について見ていきましょう。
(2)特定公益増進法人
(資本金等×3.75/1000+所得金額×6.25/100)×1/2
(3)それ以外の寄附
(資本金等×2.5/1000+所得金額×2.5/100)×1/4
資本金等は金額が大きいため、1000表記になります。
そこに所得金額(%)を合計し、1/2・1/4します。
こうして限度額の算式を見てみると、資本金等や所得金額が大きさが経費算入できる枠の大きさと比例していることがわかると思います。
つまり、大病院は経費計上できる金額も大きいのですが、中小病院は経費計上できる金額が少ないということです。
特に、赤字の事業年度の時には気をつけたいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「意外と寄附による節税効果は低い」というイメージを持たれたと思います。
なぜなら、寄附の経費計上を無制限に許すと、国の税収が寄附先へ移ってしまうからです。
寄附の第一義は、相手のため・・・ということになりますので、節税対策として用いる場合には限度額を事前に確認(=予測)するようにしましょう。