住宅資金の贈与を非課税で行うための注意点まとめQ103

 

(最終更新日:2020年4月22日 令和2年分の取り扱いも追加しました)

本日は、「住宅取得等資金」の贈与の非課税について、解説していきます。

住宅を取得するためには、大きな資金が必要になります。

そこで、親御様などから「資金援助」を受けることがあると思います。

反対に、お子様やお孫様のために、「資金援助」をしてあげたいと考えることもあると思います。

「この資金の受け渡しって、贈与税がかかるの?」というご相談をいただくことがあります。

基本的には贈与税が課税されますが、この住宅取得等資金の贈与には、贈与税が非課税となる特例があります。

とはいえ、適用を受ける要件が細かく、非課税にならなかった「失敗事例」も散見されます。

そこで、確定申告期限が迫るこの時期に、注意点をまとめていきたいと思います。

令和2年も引き続き、この特例は使うことができます。

※この記事は次の方にオススメです!

住宅を取得するための資金をお子様やお孫様へ贈与しようか検討している方

親御様から住宅を取得する資金の贈与を受けようとしている方

実務上、非課税の恩恵を受けることができなかった「失敗例」から学びたい方

原則は贈与税がかかります

まず、原則として親が子供に生活費など、扶養の範疇でお金をあげる場合には、贈与税はかかりません。

当然、扶養するにはお金が必要であり、イチイチ税金をかけるわけにはいきません。

ただし、住宅を取得するための資金は扶養の範疇には含まれませんので、贈与税がかかります。

それを一定金額まで非課税とする特例です。

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税(措法70条の2)」と言います。

一定の非課税金額とは下記の区分に応じて、決まります。

(1)住宅用家屋が消費税10%の場合

①令和2年3/31まで・・・3,000万円(2,500万円)

②令和3年3/31まで・・・1,500万円(1,000万円)

③令和3年12/31まで・・・1,200万円(700万円)

※カッコ書は、省エネ等住宅以外の場合

(2)上記(1)以外の場合

①令和2年3/31まで・・・1,200万円(700万円)

②令和3年3/31まで・・・1,000万円(500万円)

③令和3年12/31まで・・・800万円(300万円)

※カッコ書は、省エネ等住宅以外の場合

このように、消費税が10%の場合、かつ、省エネ等住宅の場合の方が非課税枠は大きくなります。

直系尊属から贈与された資金で住宅を取得等をし、翌年3月15日までに新築等をして住み始めた場合(住み始めるのが確実な場合も含む)には、この非課税限度額までは贈与税がかからないという特例になります。

注意点がたくさんあります

この特例には細かなルールがたくさんあるので、注意が必要です。

ポイントを短くまとめましたので、見ていきましょう。

①新築のみならず、中古住宅や増改築でも対象になります。

②土地のみの取得では対象になりません。あくまでも、建物とセットの場合に対象となります。

③建売住宅やマンションでも対象になりますが、売買契約日ではなく、引き渡しを受けた時点で住宅を取得したことになります。

④新築戸建ては、贈与年の翌年3月15日において完成していることが原則ですが、完成に準ずる状態(屋根があり、建造物として認められる時以後の状態)でも認められます。

⑤取得する家屋の床面積は50〜240㎡以下となります。先生方は、上限規定に注意しましょう。

⑥住宅取得資金を受け取る側は、所得金額の合計が2,000万円以下でなければなりません。

先生方が受け取る場合はもちろん、勤務医のお子様に贈与する場合等、意外とこのラインに引っかかりますのでご注意ください。

⑦非課税判定の基本となる「日付」は、契約締結日となります。完成した日や住み始めた日ではありません。

⑧もうひとつの非課税の基準となる「省エネ等住宅」とは、省エネ基準を満たす住宅を言い、「住宅性能証明書」などで証明することになります。

⑨この住宅取得等資金の非課税枠を超える金額には贈与税が課税されますが、基礎控除(110万円)や相続時精算課税の特別控除(2,500万円)もその超えた金額から引くことができます。

⑩この措法70条の2の適用を受ける場合には、期限内での確定申告が必要です。「非課税の範囲で税金が出ないから、申告しない」とはなりませんのでご注意ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この特例は、令和2年・令和3年も使うことができます。

これから住宅の取得をご検討の先生方も、まだ間に合います。

ご自身のお金でご自宅を購入される先生が多いですが、親からの贈与により、親の相続税対策にもなる特例です。

同じく、お子様に贈与することで、ご自身の相続税対策にもなります。

相続税対策も含めて、親子で検討されてはいかがでしょうか。